研究課題
肺の末梢型の腺癌は、異型腺腫様過形成(AAH)から上皮内線癌(AIS)をへて、段階を追って転移のある腺癌へとプログレッションしていると推定されている。本研究では、その分子機序を解明するため、AAHやAIS、および早期浸潤癌を対象に全エクソン解析を行って、最初期のdriver変異を同定する。特に、喫煙・アスベストなどの癌の原因因子に着目して研究を進める。本年度は、解析対象とする症例の選定、安定した結果が得られる方法論の確立に重きを置いた。早期病変の解析には、病理組織像を確認してからの解析が必須であり、そのためには、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)の材料を使用する必要がある。FFPE材料から抽出したDNAにより全エクソン解析を行うことは困難が予想され、シークエンス深度を深めることをはじめ、さまざまな工夫が必要になる。本年度は、対象となる症例を、腫瘍細胞の分布、炎症細胞の関与などの病理学的性質のみならず、固定までの保存時間、ホルマリン固定時間なども考慮して、AISの6例を選び、DNAを抽出して、抽出効率、DNA鎖のプロフィールを解析した。その結果、抽出効率のよいキットを見出し、全エクソンシークエンスを開始した。現在、シークエンスを解析中である。
3: やや遅れている
代表研究者が別の研究施設に異動したため、症例の選定が遅れた。また、症例を選定する施設での研究員交代が頻繁に起こり、作業が遅延した。
適切な症例さえ選択できれば、シークエンス自体は時間はかからないので、研究室への出勤自粛(2020年5月時点)が解除されれば、ミーティングも再開でき、進展すると思われる。
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