研究課題
Exophilin-5は、その遺伝子変異が表皮水疱症を引き起こすことが報告されているが、その具体的な機能、作用機序はほとんどわかっていない。これらを解明するため、これまでに以下の実験を行った。まずヒト表皮培養細胞株HaCaTを、インサート入りディッシュに培養し、インサート除去後の細胞間隙を遊走細胞が埋めるまでの経過を観察する創傷治癒アッセイを行ったところ、Exophilin-5をノックダウンした細胞では、予想と反し、細胞間隙を埋める過程が早まるという知見を得た。次に表皮での細胞外マトリックス、ラミニン332をコートしたディッシュにこの細胞を撒き、一定時間後に洗浄し、ディッシュに張り付いて残っている細胞数を計測する細胞接着アッセイを行ったところ、ノックダウン細胞では、細胞接着性が有意に減少していた。また、インテグリンの細胞内局在を観察したところ、ノックダウン細胞では、インテグリンの細胞膜局在が阻害され、細胞内部の小胞に蓄積されることを見い出した。以上のことから、Exophilin-5は表皮細胞の遊走、接着能に重要な働きを有していることが考えられた。また、巨大タンパク質であるExophilin-5は、様々なタンパク質と相互作用する足場タンパク質として機能している可能性がある。そこでプルダウン法を用い、新規Exophilin-5結合タンパク質探索を試みたところ、細胞遊走や接着に関わる、細胞骨格系を制御するタンパク質がいくつか同定された。現在、この相互作用について解析を行っている。
3: やや遅れている
Exophilin-5ノックダウンによる創傷治癒アッセイの結果が、予想と反対であり、その表現型の確認に時間を取った。また、Exophilin-5と相互作用するタンパク質の解析がやや遅れている、その原因として、Exophilin-5が2000アミノ酸からなる巨大分子で、細胞系における発現レベルが低く、同定した候補タンパク質が、stoichimetricに、真の相互タンパク質かどうかを確認するための作業に時間を取っている。
外来性Exophilin-5の発現レベルを上げることに関しては、アデノウィルス、レンチウィルスなど、複数の発現系を試している。すでに同定した候補タンパク質については、免疫沈降法による結合の確認、リコンビナント・タンパク質を用いた結合領域の決定、ノックダウンによる細胞レベルでの表現型解析を推進する。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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http://molend.showa.gunma-u.ac.jp/