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2019 年度 実績報告書

慢性炎症を基盤としたリプログラミングの可視化と腫瘍の解析

研究課題

研究課題/領域番号 19H03452
研究機関大阪大学

研究代表者

森井 英一  大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10283772)

研究分担者 奥崎 大介  大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (00346131)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード炎症 / リモデリング / 腫瘍
研究実績の概要

慢性炎症疾患として、慢性間質性肺炎に着目し、慢性間質性肺炎に合併する肺腫瘍を含む病理検体の解析を行った。肺の発生過程において、気管支上皮にはSox2が発現し、その先端部分がSox9陽性になり肺胞が発生することが知られている。ヒトにおいてはSox2, Sox9の両者を発現する細胞群も肺の発生過程では存在すると言われているが、成人の炎症を起こした肺組織、およびそれに付随する腫瘍組織におけるこれらの因子の発現については知られていない。そこで、慢性間質性肺炎合併肺腫瘍組織で、Sox2, Sox9の発現を検討したところ、化生により肺胞領域が気管支様の形態をとる部分ではSox2が、それ以外の肺胞領域ではSox9が陽性になることがわかった。腫瘍における発現形態は多様であり、Sox9陽性細胞が主体を占めているが、部分的にSox2陽性細胞が混在していることがわかった。両者を二重染色することにより、Sox2とSox9を同時に発現する細胞が存在しているかどうかの検討を現在行っているところである。また、epigeneticな変化を惹起するリモデリング因子として、SWI/SNF複合体のメンバーについての発現も解析している。現在、慢性間質性肺炎を中心に検討しているが、他の炎症性疾患や腫瘍疾患についてもSWI/SNF複合体の発現を調べており、特にリンパ組織において特異なパターンでの発現を見出している。この点についてもさらに解析を進める予定である。SWI/SNF複合体は、その発現低下が未熟な腫瘍を惹起することが知られているが、これまで検討したところ、複合体を構成するメンバーの発現バランスの変化と腫瘍性変化に何らかの相関があることが示唆されているので、この点についても検討を進める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

慢性間質性肺炎に着目し、慢性間質性肺炎に合併する肺腫瘍を含む病理検体の解析を行っている。肺の発生過程において、気管支上皮にはSox2が発現し、その先端部分がSox9陽性になり肺胞が発生することが知られている。ヒトにおいてはSox2, Sox9の両者を発現する細胞群も肺の発生過程では存在すると言われているが、成人の炎症を起こした肺組織、およびそれに付随する腫瘍組織におけるこれらの因子の発現については知られていない。そこで、慢性間質性肺炎合併肺腫瘍組織で、Sox2, Sox9の発現を検討したところ、化生により肺胞領域が気管支様の形態をとる部分ではSox2が、それ以外の肺胞領域ではSox9が陽性になることがわかった。腫瘍における発現形態は多様であり、Sox9陽性細胞が主体を占めているが、部分的にSox2陽性細胞が混在していることがわかった。両者を二重染色することにより、Sox2とSox9を同時に発現する細胞が存在しているかどうかの検討を現在行っているところである。また、epigeneticな変化を惹起するリモデリング因子として、SWI/SNF複合体のメンバーについての発現も解析している。

今後の研究の推進方策

慢性間質性肺炎合併肺腫瘍組織で、Sox2, Sox9の発現を検討したところ、腫瘍における発現形態は多様であり、Sox9陽性細胞が主体を占めているが、部分的にSox2陽性細胞が混在していることがわかった。両者を二重染色することにより、Sox2とSox9を同時に発現する細胞が存在しているかどうかの検討を行う。また、epigeneticな変化を惹起するリモデリング因子として、SWI/SNF複合体のメンバーについての発現も解析している。現在、慢性間質性肺炎を中心に検討しているが、他の炎症性疾患や腫瘍疾患についてもSWI/SNF複合体の発現を調べており、特にリンパ組織において特異なパターンでの発現を見出している。この点についてもさらに解析を進める予定である。SWI/SNF複合体は、その発現低下が未熟な腫瘍を惹起することが知られているが、これまで検討したところ、複合体を構成するメンバーの発現バランスの変化と腫瘍性変化に何らかの相関があることが示唆されているので、この点についても検討を進める。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Tumour Grade Significantly Correlates With Total Dysfunction of Tumour Tissue-Infiltrating Lymphocytes in Renal Cell Carcinoma2020

    • 著者名/発表者名
      Kawashima A, Kanazawa T, Kidani Y, Yoshida T, Hirata M, Nishida K, Nojima S, Yamamoto Y, Kato T, Hatano K, Ujike T, Nagahara A, Fujita K, Morimoto-Okazawa A, Iwahori K, Uemura M, Imamura R, Ohkura N, Morii E, Sakaguchi S, Wada H, Nonomura N.
    • 雑誌名

      Sci Rep .

      巻: 10 ページ: 6220

    • DOI

      10.1038/s41598-020-63060-1.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] ARL4C is associated with initiation and progression of lung adenocarcinoma and represents a therapeutic target2020

    • 著者名/発表者名
      Kimura Kenji、Matsumoto Shinji、Harada Takeshi、Morii Eiichi、Nagatomo Izumi、Shintani Yasushi、Kikuchi Akira
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: 111 ページ: 951~961

    • DOI

      10.1111/cas.14303

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Serum deprivation‐response protein regulates aldehyde dehydrogenase 1 through integrin‐linked kinase signaling in endometrioid carcinoma cells2019

    • 著者名/発表者名
      Tahara Shinichiro、Nojima Satoshi、Ohshima Kenji、Hori Yumiko、Kurashige Masako、Wada Naoki、Motoyama Yuichi、Okuzaki Daisuke、Ikeda Jun‐ichiro、Morii Eiichi
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: 110 ページ: 1804~1813

    • DOI

      10.1111/cas.14007

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 病理診断におけるAIと専門医のあり方2019

    • 著者名/発表者名
      森井英一
    • 学会等名
      日本学術会議公開シンポジウム
    • 招待講演

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公開日: 2021-01-27  

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