TGF-βシグナル関連遺伝子であるSmad1,Smad5、Smad1/Smad5、Smad2、Smad3、Smad2/Smad3、Smad4、ALK5、TβRII遺伝子をVillin-CreERを用いて消化管上皮細胞特異的に遺伝子欠損させたマウスを作出した。これらのマウスの中で、Smad2/Smad3を欠損させた場合及びSmad4を欠損させた場合にのみタモキシフェン投与後20週令で消化管に腫瘍が形成された。 特にSmad2/Smad3を欠損させたマウス消化管では、高頻度で浸潤度の高い腫瘍が、小腸、盲腸、大腸が認められた。ヒト大腸がんでは、Apc遺伝子欠損に基づくβカテニン陽性腫瘍の頻度が多いことが知られているので、β-カテニンで免疫染色を行ったが、腫瘍部でも細胞膜への染色が認められたが、核染色は認められなかった。したがって、Wnt/β-カテニン非依存性腫瘍であることが認められた。 Smad2(F/F)/Smad3(F/F)マウスとSmad2(F/F)/Smad3(F/F)/villinマウスにタモキシフェンを投与後20週齢のマウス由来小腸粘膜細胞からトータルRNAを抽出して、RNAsq解析を行った、GO解析の結果、腫瘍を有するSmad2(F/F)/Smad3(F/F)/villinマウスでは、B細胞や好中球などが浸潤している可能性を示唆するデータを得た。またヒートマップの結果から、2つの遺伝子がSmad2(F/F)/Smad3(F/F)/villinマウス由来小腸粘膜で抑制さえていることが認められた。
|