研究課題
染色体異常疾患(モノソミーやトリソミー)は、遺伝子の量的不足、もしくは過剰が原因で症状が出現すると漠然と考えられている。しかし、その実態の多くは不明である。時にハプロ不全が原因であるとされている疾患モデルに他のハプロ不全変異を導入することにより、その表現型が 消失する事例が存在する。この事は、単なる1遺伝子の量的不足や過剰が症状発症の原因ではない事を意味している。本研究課題は、ヒト染色 体異常疾患・4番染色体長腕部分重複症(4q+)をモデルに、染色体異常疾患の症状発症の本質を見いだすことを目的とする。本年度は、昨年度までに作製・解析を実施・継続中のHand2:Runx2ダブル KOヘテロマウス、Hand2:Hmgb2ダブル KOヘテロマウス、Runx2:Hmgb2ダブル KOヘテロマウス、Hand2:Runx2:Hmgb2トリプルKOヘテロマウスにおいて頭蓋骨、鎖骨の詳細な骨形態解析を実施した。また、Hand2:Runx2ダブル KOマウス、Hand2 KOヘテロマウス、Runx2 KOヘテロマウスの理研BRCマウスクリニックによる網羅的表現型解析を行った。更にHand2と同じbHLH型転写因子であるTwist1とHand2の遺伝子量効果が頭蓋形成に関わるか否かの検証も実施した。その結果、鎖骨頭蓋骨形成不全症や4q+の鎖骨形成不全はHand2, Runx2の遺伝子量バランスが崩れたことによること、少なくともHmgb2とHand2の遺伝子量バランスは頭蓋骨、鎖骨形成には関与していないことが明らかとなった。更にHand2 KOヘテロマウス、Runx2 KOヘテロマウスの網羅的表現型解析からはこれまでに報告されていない新たな表現型が多数見出された。このことは、鎖骨頭蓋骨形成不全症や4番染色体長腕部分欠損症の原因究明に大きく貢献することが考えられる。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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