研究課題
肝臓期のPlasmodium berghei(Pb)が感染したBALB/cマウスにバキュロウイルス(BV)を筋肉内接種すると、肝臓期原虫は完全に排除される。本研究では、(1)BVによる原虫排除におけるIFNシグナル伝達の重要性を検証、(2)BVが接種されたマウスの肝臓における遺伝子発現解析を網羅的に行い、原虫排除に不可欠な新規のエフェクター分子の探索、(3)排除された個体はその後、スポロゾイトに再度暴露された際に感染しうるのか?これらはマラリアコントロールにおいて重要課題であり、そのメカニズムを明らかにすることを目的とした。(1)、(2)についてはすでに2019、2020年度にその成果を報告している。(3)について、 BALB/cマウスにPbのスポロゾイトをチャレンジ感染し、24時間後にBVを筋注して原虫を排除した。その5週間後に、Pb、P. yoelii(Py)、ならびに、PfCSP置換型遺伝子組換えPb(Pf/Pb)のスポロゾイトをチャレンジ感染させた。各マウスは感染14日後まで防御効果を判定した。Pb初回感染後、BV接種により90%以上のマウスで肝臓期原虫が排除された。再感染実験の結果、Pbに対して80%のマウスが感染防御したが、Py再感染群では全て感染した。一方、Pf/Pb再感染群でも100%の感染防御効果を示し、逆にPf/Pb排除後のマウスに野生型Pbを再感染させた場合でも80%が感染防御した。感染防御したマウスでは暴露した原虫種に応じて抗PfCSP抗体や抗PbCSP抗体が生じていた。BVによってPb原虫が排除されたマウスでは、CSP以外の抗原に対する獲得免疫応答、特に細胞性免疫応答が重要であることが考えられた。マラリアワクチン肝臓期抗原としてCSP以外にも重要な感染防御免疫応答を誘導する標的分子が存在することが明らかとなった。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Gene Expr
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