研究実績の概要 |
真核生物に保存するホスファチジルイノシトール(PtdIns)シグナルが関与する貪食、小胞輸送、核内脂質代謝等の分子過程を腸管寄生性原虫赤痢アメーバにおいて明らかにすることを目的に以下の検討を行った。 A.基質特異性・阻害剤感受性の評価:赤痢アメーバclass I PI3-kinase (PI3KI), PTEN, Sacはゲノムに6,6,3遺伝子存在するが、発現量の高い各1遺伝子についてpColdIにサブクローニングし、His-タグ融合タンパク質発現ベクター)を作成した。PI3KI,PTENについて大腸菌BL21株を用い組換え体発現を検討した。さらにPTENについて精製条件を決定した。 B.活性制御機構の解明:PI3KI, PTENそれぞれ2遺伝子について、GFP、HAタグ融合タンパク質発現プラスミドを作成した。赤痢アメーバ高発現株の樹立を行い、発現をウエスタンブロットにより検討した。2遺伝子のPTENについてGFP-PTEN発現株が樹立された。 C.局在制御機構の解明:Bで樹立されたGFP-PTEN株について細胞内局在を検討した。パラホルムアルデヒドで固定した栄養体を共焦点レーザー顕微鏡で観察し、GFPの蛍光を指標にGFP-PTENの局在を観察した。細胞質と核への局在が期待された各1遺伝子について高発現株を作成したが、どちらも細胞質に局在することが示された。 D.核内PtdIns代謝の解析:核内PtdIns4P検出とその代謝の解析の為PtdIns4P結合ドメイン融合タンパク質の発現と局在解析を行い、赤血球との共培養でシグナルが消失することが示された。
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