研究実績の概要 |
A.基質特異性・阻害剤感受性の評価:PtdIns(3,4,5)P3脱リン酸化酵素であるPTEN1について各種ホスホイノシタイドを用いた脱リン酸化活性を検討し、PtdIns(3,4,5)P3に対する特異性を示した。また、脱リン酸化活性中心変異体では活性が消失し、脂質脱リン酸化酵素として高い保存性を持つことが示された。 B.活性制御機構の解明:HA-PTEN1について高発現赤痢アメーバとベクターコントロール株から抗HA抗体を用いた免疫沈降と質量分析を行い、結合分子の同定を試みた。免疫複合体の担体からの溶出の有無を変えた2回の試行から、複数の再現性のある結合分子候補を見出した。 C.局在制御機構の解明:Bの試行から、Rho, Ras低分子量GTPase制御分子、PTEN2が再現性のあるPTEN結合分子候補として見いだされた。今後これら結合分子候補とPTENの結合を再検討し、赤痢アメーバにおけるPTEN活性制御の分子機構の解明につなげたい。 D.核内PtdIns代謝の解析:核内PtdIns4P代謝の実態の検討を行うため、PtdIns4Pの代謝産物となるPtdIns(4,5)P2、またそのほかPtdIns結合ドメインと蛍光タンパク質との融合タンパク質(脂質プローブ)の発現と局在検討を行った。テトラサイクリン誘導性の9種類の脂質プローブ発現株を樹立し、4種類のPtdIns(4,5)P2プローブの発現を確認した。今後核内脂質代謝の検討を行う。 Aの結果とPTEN1の機能解析のデータをまとめ、PTENのPtdIns(3,4,5)P3制御を介した細胞機能について論文を投稿した。
|