研究課題
腸内および表皮における常在真菌であるCandida albicansは、免疫不全時には深在性真菌症を引き起こす真菌であることが知られている。申請者らは、腸内細菌が腸内におけるC. albicansの定着を阻害することを見出し、本研究において腸内細菌によるC. albicansの定着阻害機構の解析を行っている。特に本年度はin vitroにおいてC. albicansの増殖を阻害する腸内細菌由来因子の性質の解析ならびに分離を進めた。これまでに、腸内細菌の培養上清中にC. albicansの増殖阻害活性因子が存在することを見出しており、この培養上清の限外濾過による分画化の結果、C. albicans増殖阻害因子は分子量3000kDa以下の低分子であることが推測された。さらに、種々の有機溶媒による分液操作を行い、特定の有機溶媒において水相に分画化される分子であることが見出された。さらにODSカラムを用いた逆相クロマトグラフィーを用いたところ、活性因子は特定の画分に分画化された。興味深いことに、C. albicans阻害細菌の培養上清を用いて、C. glabrataやC. tropicalis、C. aurisといった他のCandida属真菌を培養したところ、これらの真菌に対しても増殖阻害効果が観察された。さらに、宿主腸管免疫細胞のうちCD4陽性T細胞が、腸管管腔におけるC. albicansの定着を制御することを見出した。また、二次リンパ組織欠損マウスにおいてC. albicansが腸内に定着したことから、二次リンパ組織において誘導されたCD4陽性T細胞が腸管におけるC. albicansの定着を制御することが示唆された。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
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