近年、真核細胞で確認されていない特殊な化学修飾を触媒する酵素群が病原細菌から次々と見つかっている。特に病原細菌レジオネラはその保有する酵素群の多様性、特殊性において並外れており、細菌学の枠組みを超え、有機化学、酵素学、構造生物学を含む分野横断的な研究対象として注目を集めている。本研究課題では、レジオネラ酵素が触媒する化学修飾の特異性のみならず、その機能の階層性に光をあてた。本成果は、病原細菌が実現する細胞内での精緻な調節機構を解明し病態発症の分子メカニズムへの理解を導く一つの足掛かりと位置付けられる。レジオネラを始めとする細菌感染症防除の創薬開発にこれまでにない視点を与えるものと考える。
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