研究課題
本研究課題では、C方肝炎ウイルス (HCV) の粒子形成に必須な構造タンパク質であるコアタンパク質に着目し、特にコアタンパク質の成熟化過程と宿主因子の関わりについて検討を行ってきた。HCVのコアタンパク質の成熟には、宿主のSignal peptide peptidase (SPP) が必須の役割を果たすことが知られている。本研究ではHCVがSPPを利用する生物学的意義を明らかにするため、特にHCVの免疫回避機構とSPPとの関連性を解析した。昨年度までに、SPPは宿主の免疫関連因子であるMHCクラスI分子を切断して成熟化することで、MHCクラスI分子の正常な発現に重要であることを明らかにしている。コアタンパク質の発現時には、コアタンパク質がSPPと相互作用することにより、プロテアソームを介したMHCクラスI分子の分解機構が誘導され、MHCクラスI分子の発現が低下することを明らかにしている。また、このメカニズムに必須の宿主因子として、小胞体に局在するE3ユビキチンライゲースのHRD1を見出している。これまで複数のウイルスにおいて、ウイルス感染時にMHCクラスI分子の発現が改変される現象が報告されている。特にヒトサイトメガロウイルス (HCMV) では、ウイルスタンパク質のUS2タンパク質によりプロテアソームを介したMHCクラスI分子の分解機構が誘導されることが知られている。本年度は特に、HCVコアタンパク質によるMHCクラスI分子の分解機構と、HCMVによる分解機構の比較解析を行い、ウイルス間の免疫回避機構の違いを比較した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Proc Natl Acad Sci U S A.
巻: 118(22) ページ: e2026184118
10.1073/pnas.2026184118