研究課題
自然免疫はウイルス感染初期の生体防御に必須であり、特に感染初期に産生されるI型インターフェロンは強い抗ウイルス作用を持つサイトカインであり、自然免疫でも重要な免疫応答の一つである。我々はこれまでウイルス感染時のI型インターフェロン産生のメカニズムについて研究を進め、RipletユビキチンリガーゼやRIOK3キナーゼなどの翻訳後修飾がこれらの過程で非常に重要であることを発見した。本研究では、特に翻訳後修飾に焦点をあて研究を進めた。2020年にパンデミックとなった新型コロナウイルス感染症の原因となるSARS-CoV-2に対する自然免疫応答を調べたところ、SARS-CoV-2のRNAゲノムの2箇所の領域が細胞質内のRIG-IとMDA5の両方の分子によって認識されること、さらに、RIG-Iのユビキチン化に関与するRiplet分子も、SARS-CoV-2に対する自然免疫応答に関与することを明らかにするとともに、ウイルスの複数の分子がこれらの分子の活性化やシグナル伝達を阻害することを明らかとした(Kouwaki T et al., Frontiers in Immunology 2021)。ウイルス感染と自然免疫の関連として、新型コロナワクチン接種においてワクチン接種後の免疫応答と血液の細胞外小胞内microRNAとの関連を調べたところ、副反応の強さや抗体価と関連するmicroRNAを複数同定した(Miyashita Y et al 2022 NPJ Vaccines)。また、自然免疫と獲得免疫とのクロストークとして、ウイルスRNAを認識するTLR3のアダプター分子であるTICAM-1がIL-17受容体のシグナルを阻害することを明らかとした(Miyashita Y et al 2022 Life Science Alliance)。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件)
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