今後の研究の推進方策 |
上記の進捗を受けて、2020年度は以下の解析を推進する: 1)FLAG標識APOBEC3発現マウスの骨髄および脾臓細胞を分離し、前者についてはSca-1, Kit, CD19を含む多重マーカー、後者についてはCD19, CD21, CD23, B220, CD93, GL-7を含む多重マーカーで蛍光セルソーター解析を行い、生理的にAPOBEC3を高発現する細胞集団を同定する。また、組織切片を用いた多重免疫染色を実施し、APOBEC3タンパク質の組織局在と、レトロウイルス感染時の変化を経時的に解析する。 2)FALG標識APOBEC3発現B6マウスに、蛍光タンパク質発現フレンドウイルス複合体を高い感染価で接種する。その後時間経過を追って骨髄と脾臓を採取し、1)と同様の蛍光セルソーター解析により、フレンドウイルス感染に伴うAPOBEC3発現量と細胞分布の変化を追うと共に、特に感染Bリンパ球においてAPOBEC3の発現量と細胞内局在が変わる可能性を検討する。 3)APOBEC3が、免疫グロブリン可変部の高頻度突然変異を介してウイルス中和抗体産生に関与するなら、それにはデアミナーゼ活性が必須の筈である。そこで、デアミナーゼ活性欠損APOBEC3を発現するB6マウスにフレンドウイルスを感染させ、経時的に血清を採取してウイルス中和抗体価を測定する。 4)免疫系以外の組織で意外な程高発現するAPOBEC3タンパク質の機能を解明するため、その組織の病態、特に炎症誘発時の遺伝子発現変化や腫瘍発生に詳しい専門家と共同し、APOBEC3タンパク質のこれまで全く予想されていなかった生理機能を明らかにしていく。
|