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2020 年度 実績報告書

Regulome調節による獲得免疫リンパ球の確立とRag1/Rag2発現制御

研究課題

研究課題/領域番号 19H03487
研究機関京都大学

研究代表者

宮崎 正輝  京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 准教授 (80403632)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード獲得免疫リンパ球 / Rag遺伝子 / 遺伝子再構成 / 転写因子E2A / 3次元ゲノム構造
研究実績の概要

免疫機構は、獲得免疫と自然免疫の協調作用として、様々な炎症反応を制御する。獲得免疫は、T細胞、B細胞が抗原を認識することにより特異的な反応が惹起される。獲得免疫と自然免疫の一番の違いは、遺伝子再構成により抗原特異的な受容体(T細胞受容体(TCR)、抗体分子(Ab))を形成することである。つまり、この二つの遺伝子再構成を司るRag1/Rag2の発現が、獲得免疫の始まりである。本研究課題では、このRag1/Rag2遺伝子の発現制御を解明することで、造血幹細胞から獲得免疫リンパ球への分化の成り立ちを明らかにし、獲得免疫成立の本体に迫ることを目的とする。
2020年度までに、T細胞、B細胞それぞれに特異的なRag1/Rag2遺伝子のエンハンサー領域を同定し、その領域の欠損マウスを作製した。結果として、T細胞エンハンサー(R-TEn)はT細胞でのみ機能し、B細胞エンハンサー(R1B, R2B)はB細胞でだけ機能し、それぞれの欠損は、Rag1/Rag2の遺伝子発現低下によるT細胞受容体または抗体遺伝子の遺伝子再構成の障害を起こし、リンパ球の分化障害、そして免疫不全症を呈した。興味深いことは、このエンハンサー領域にある転写因子E2Aの結合配列(E-box)の変異によって、エンハンサー機能が障害され、さらにはRag遺伝子座の3次元ゲノム構造が消失していた。このことは、Rag1/2エンハンサーへのE2Aの結合が最も重要なイベントであることを示している。この内容は2020年にScience Immunology誌に発表することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

2020年度は、これまでの研究成果を免疫学のトップジャーナルであるScience Immunology誌に発表することができ、進捗状況としては非常に順調であると言える。現在、さらに新たな変異マウス、およびRag遺伝子のアンカー領域の同定に成功し、その領域の欠損マウスも作製しており、結果が期待される。またRag1/2エンハンサー領域だけでなく、Rag1プロモーター領域の解析を進めており、次の結果も期待される。

今後の研究の推進方策

これまでの研究結果から、Rag1プルモーター近傍へのE2Aの結合は、T, B細胞に共通しており、この領域のE-boxの変異マウスの解析から、T, B細胞共にRag1の発現が消失してしまい、T, B細胞の分化がpro-T, pro-B細胞で停止してしまうことを見出した。このことは、Rag1発現が完全にE2Aの結合に依存していることを表せているが、しかし、この領域にE2Aが結合することがどういうことを引き起こすのか、その詳細は全く明らかでない。現在、この領域の分子機構の解明を試み、さらなる研究の発展が期待される。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] The transcription factor E2A activates multiple enhancers that drive Rag expression in developing T and B cells.2020

    • 著者名/発表者名
      Miyazaki K, Watanabe H, Yoshikawa G., Chen K., Hidaka R., Aitani Y., Osawa K., Takeda R., Ochi Y., Tani-ichi S., Uehata T., Takeuchi O., Ikuta K., Ogawa S., Kondoh G., Lin CY., Ogata H., Miyazaki M*
    • 雑誌名

      Science Immunology,

      巻: 5 ページ: 1-15

    • DOI

      10.1126/sciimmunol.abb1455.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] E2A specifies adaptive immunity by instructing large-scale topological changes for Rag gene super-enhancer formation.2020

    • 著者名/発表者名
      Masaki Miyazaki.
    • 学会等名
      Cold Spring Harbor Laboratory Meeting
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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