炎症反応や線維性微小環境の形成は、発がんに重要な役割を果たすことが示されているが、転移などの悪性化過程における役割は未だ不明な点が多い。本研究では、マウス腸管腫瘍由来オルガノイドの移植モデルを用いて、大腸がん肝転移機構の解析を行なった。その結果、転移性がん細胞が肝臓に到達すると、肝星細胞の活性化により線維性微小環境が形成され、がん細胞の生存と増殖を促進することが明らかとなった。さらに、宿主側のTGF-βシグナルや自然免疫、炎症反応が、線維性微小環境形成と肝転移巣形成に重要な役割を果たすことが、個体レベルの解析により明らかとなった。
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