研究実績の概要 |
・CAGE(Cap Analysis of Gene Expression)法による骨髄腫細胞株、およびCD138 MACSによる純化骨髄腫細胞を含む16例の臨床検体の転写ネットワーク解析を行い、3237の新規エンハンサーを含む6735のエンハンサーを同定した。さらに正常形質細胞1例と骨髄腫11症例のCAGE-seqを行い解析中である。 ・患者骨髄を用いてシングルセルトランスクリプトーム解析からA3Bが細胞周期依存性に一部の腫瘍細胞で一過性に過剰発現することを見出し報告した(Hirabayashi et al., BBRC, 2021)。 ・A3B-FLAGを過剰発現するHEK293Tを用いた系、および骨髄腫細胞株RPMI8226、AMO1細胞を用いて質量分析を行い、A3B結合蛋白群を同定した。これらはスプライシング複合体の構成因子であり、A3Bと共に核内で高分子複合体を形成することをショ糖濃度勾配法で明らかにした。そのうち転写因子であるILF2がA3Bと結合しそのシトシン脱アミノ化酵素(CDA)活性を正に制御していることを発見し報告した(Kazuma et al., Scientific Reports 2022)。 ・A3B過剰発現マウスを作製し、骨肉腫やリンパ腫などを自然発症するp53ヘテロKOマウスと交配した。A3B過剰発現によりp53ヘテロ欠損により発生する骨肉腫細胞内でのA3B過剰発現、CDA活性を確認できたが、マウスの腫瘍発生率が時期、頻度に影響は見られず投稿準備中である。
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