研究課題/領域番号 |
19H03510
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
野村 幸世 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (70301819)
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研究分担者 |
和田 洋一郎 東京大学, アイソトープ総合センター, 教授 (10322033)
秋光 信佳 東京大学, アイソトープ総合センター, 教授 (40294962)
杉山 暁 東京大学, アイソトープ総合センター, 助教 (40562715)
羽場 宏光 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, チームリーダー (60360624)
熊倉 嘉貴 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90517773)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 腹膜播種 / 内照射 / 胃癌 / アスタチン / ラジオアイソトープ |
研究実績の概要 |
本研究では、理研RIビームファクトリーAVFサイクロトロンを用いて、209Bi(α,2n)211At反応による211Atの製造技術開発を行った。AVFサイクロトロンのビームラインに金属ビスマス照射装置を開発し、国内最高ビーム強度(32 μA)のαビーム照射による211At製造に成功した。これにより、理研では1日当たり最大1 GBqの211Atの製造・供給が可能となった。また、ホットラボ室に乾式蒸留法による211At精製装置を開発し、211Atの化学精製技術を確立した。製造した211Atは、2020年度より東京大学アイソトープ総合センターに移管され、短寿命α線医薬品製造工程における被ばくを抑制するロボティック精製・標識技術の開発/超選択的デリバリー短寿命α線を用いた胃癌腹膜播種内照射療法の実験的検討を行う予定である。 一方、東京大学アイソトープセンターでは、C57BL/6にC57BL/6可移植胃癌細胞YTN16を腹腔内投与することにより、胃癌腹膜播種モデルは安定して作成できるようになった。胃癌腹膜播種に211Atを集積させる方策として、胃癌細胞膜で高発現しているタンパクに対する抗体による211Atの集積を計画しているが、それ以外に、骨髄由来間葉系幹細胞の癌線維芽細胞化に着目し、ヨードトランスポーターを高発現させた骨髄由来間葉系幹細胞を腹腔内に投与したのちに、125Iをマウスに経口投与し、ガンマカウンターを用いて、125Iが腹膜播種を伴う腹膜に集積することを確認した。2020年度には2019年度に確立した方法で、C57BL/6マウスに胃癌腹膜播種モデルを作成し、これに、ヨードトランスポーターを高発現させた骨髄由来間葉系幹細胞を投与したのちに、211Atを投与し、その抗がん効果を確認する。同時に、当初の計画であった、胃癌細胞表面タンパクに対する抗体を作成し、このアビジンービオチンシステムを用いて、211Atが胃癌細胞に選択的に作用するようにし、その抗がん効果を確認することを計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当アイソトープセンターにてAt-211(アスタチン)の使用許可が昨年度降りなかったため、若干の遅れが生じているが、代用であるI-125の腹膜播種への集積は確認でき、また、良質のAt-211の供給もできることが確認され、次年度には計画にキャッチアップできるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度より理研にて製造した211Atは、東京大学アイソトープ総合センターに移管し、短寿命α線医薬品製造工程における被ばくを抑制するロボティック精製・標識技術の開発/超選択的デリバリー短寿命α線を用いた胃癌腹膜播種内照射療法の実験的検討を行う予定である。 具体的には昨年度に確立した方法で、C57BL/6マウスに胃癌腹膜播種モデルを作成し、これに、ヨードトランスポーターを高発現させた骨髄由来間葉系幹細胞を投与したのちに、211Atを投与し、その抗がん効果を確認する。同時に、当初の計画であった、胃癌細胞表面タンパクに対する抗体を作成し、このアビジンービオチンシステムを用いて、211Atが胃癌細胞に選択的に作用するようにし、その抗がん効果を確認することを計画している。
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