研究課題
本研究では最先端のマルチスケール解析により、二重特異性抗体で架橋された、がん細胞と免疫細胞のインターフェイスを描像し、空間配置の違いが、如何に細胞間架橋の違いをもたらし、また超高活性化を引き起こすのかを明らかし、さらにその一般性を検証することを目的としている。本年度は、主に1. 原子間力顕微鏡観察による二重特異性抗体の細胞間架橋能評価、および2.電子顕微鏡を用いた二重特異性抗体-標的抗原複合体の観察、の観点から研究を進めた。1.原子間力顕微鏡観察による二重特異性抗体の細胞間架橋能評価前年度、原子間力顕微鏡を用いた細胞間架橋度測定を進めた結果、二重特異性抗体の分子構造の違いと相関がみられたため、本年度は、それぞれ分子構造が異なる高分子量型と低分子量型の二重特異性抗体を用いて細胞間架橋度評価を行った。結果、いずれもがん細胞傷害活性の強弱と相関がみられたため、超高活性化を引き起こすには細胞間をより強い力で架橋できる構造であることが重要であることが示された (Biosens Bioelectron 2021;178:113037) 。2.電子顕微鏡を用いた二重特異性抗体-標的抗原複合体の観察調製途中での解離等による副生成物の混在を低減させるために一本鎖化させた二重特異性抗体、かつがん細胞傷害活性が異なる分子をそれぞれブレビバチルス菌を用いて調製した。別途調製した組換え標的抗原と混合後、複合体をゲルろ過で分取したものを試料として用いて、電子顕微鏡観察を行った。結果、がん細胞傷害活性が異なる二重特異性抗体間で、抗原に結合した際の構造が大きく異なる様子が観察された。精密構造解析までは至らなかったが、今後の研究展開に大いに期待が持たれる結果である。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 1件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)
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