研究課題/領域番号 |
19H03517
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
崔 林 九州大学, 医学研究院, 学術研究員 (30717822)
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研究分担者 |
中野 賢二 大阪大学, 薬学研究科, 招へい教授 (00315061)
加藤 聖子 九州大学, 医学研究院, 教授 (10253527)
松本 雅記 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60380531)
小田 義直 九州大学, 医学研究院, 教授 (70291515)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 核内非翻訳RNA |
研究実績の概要 |
本研究では多種固形癌におけるSNORA23の転移形質における意義を明らかにすることを目的の一つとしている。 そこで、我々は胃癌(44AS)、肺癌(NCI-H460)、胆道癌(Gbd15, TGBC2)、卵巣癌(ES2)の細胞を脾臓に移植して肝転移を繰り返して高転移株を作製した。全ての高転移細胞株式において親株よりSNORA23の発現上昇を確認できた。また、SNORA23をノックダウンすることによって高転移株の浸潤能は低下することも確認でき、SNORA23の癌腫に関係なく転移能に関わることは明らかになった。 しかし、膵癌の研究でSNORA23の下流因子として同定したSYNE2のmRNA発現は癌腫が変わることによってSNORA23の発現変動によって左右されてないことがわかった。 そこで、我々はSNORA23の各癌腫におけるメカニズムを解明するため、ES2、Gbd15、44AS細胞の親株、高転移細胞株、高転移細胞株のSNORA23をノックダウンした細胞からmRNAを抽出してマイクロアレイ解析を行なった。その結果、SNORA23をノックダウンすることによって三つの細胞で共通に変動する遺伝子をいくつか同定することができた。しかし、これらの遺伝子は前研究の膵癌でSNORA23をノックダウンした時には変動しなかった遺伝子であるため、SNORA23の制御メカニズムは癌種によって或いは、癌の環境によって変わるものかもしれないことを認識し、各癌種におけるメカニズム解析を行なっている。 また、マイクロアレイ解析によって高転移細胞株が親株に比べて共通に変動する遺伝子もいくつか同定し、それらの遺伝子とSNORA23との関係、また細胞の転移に関わる役割を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を始めて最初は予定していた細胞で肝転移を起こさない細胞がいくつかあったが、作製した高転移細胞株を用いて様々な解析をした結果、予想外の結果も得られて、概ね順調だと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今までの結果を踏まえて、まず、今後は各癌種におけるSNORA23のメカニズム解析を行う。今回の網羅的マイクロアレイ解析で三つの細胞においてSNORA23をノックダウンすることによって共通する遺伝子もいくつかあったのでそれらの遺伝子がSNORA23の下流因子であるかを検討し、また、共通していない遺伝子においても各癌種において単独メカニズムの可能性なども検討していく。 また、SNORA23とは別に、高転移細胞株で親株より共通に変動した遺伝子に関しても、SNORA23との関係、または、細胞の肝転移に関わる可能性に関しても検討する。 それと、SNORA23のアンチセンスオリゴを用いて血行性転移における遺伝子治療効果も確認する。
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