研究課題/領域番号 |
19H03520
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
岩田 卓 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30296652)
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研究分担者 |
大多 茂樹 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (20365406)
谷口 智憲 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (40424163)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 子宮頸癌 / 腫瘍浸潤リンパ球 / 養子免疫療法 |
研究実績の概要 |
本年は、子宮頸癌のオルガノイド作成と、自家の系で抗腫瘍効果を検討する腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の培養法の検討を行った。 (オルガノイド作成):1.子宮頸癌組織を採取し、細胞を分離する。2. 癌細胞200個を20μLのマトリゲルで包埋する。3. 幹細胞ニッチ因子を含む幹細胞培地で培養する。4.子宮頸癌の細胞株であるか、P16染色を行い、確認する。(結果)15例の子宮頸癌組織を用いてオルガノイド作成を行い、9例でオルガノイドの作成に成功した。(TIL培養法の改良)1.患者検体からTILを抽出し、抗PD-1抗体を添加した培養液と添加しない培養液で2週間培養する。2. 末梢血単核球とともにTILを2週間培養し、増殖能、疲弊度をフローサイトメトリー(FACS)で検討する。(結果)2例の患者検体でTILの培養を行った。そのうち1例で抗PD-1抗体を添加して培養したTILが無添加で培養したTILよりも有意に細胞増殖が良好であり、疲弊度もすくなかった。(細胞障害性の検討)1. 同一患者で作成したオルガノイドとTILを準備する。2.TILは2週間、抗PD-1抗体を加えた培地で培養し、活性化した細胞障害性T細胞をCD8+CD69+でFACSを用いて集め、4日間培養する。3. オルガノイドとTILを36時間共培養しINF-rによって細胞障害活性を測定する(結果)オリガノイドと共培養した場合、抗PD-1抗体を添加して培養したTILは無添加で培養したTILよりも有意に、INF-rの産生量が多く、より細胞障害活性を有すると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オルガノイド作成の成功率は6割と好成績であった。TIL培養も抗PD-1抗体の添加により抗腫瘍活性が高まることが示唆されており、順調である。
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今後の研究の推進方策 |
TIL培養法について、抗PD-1抗体だけでなく、TWS119 (glycogen synthase kinase 3 beta (GSK3β) inhibitor)でも同様の検討を行う。 TILの評価として、抗腫瘍活性のほか、Seahorse XF Analyzersを用いてTILの代謝がどう変化するか経時的かつ網羅的に検討する。 本年夏より、先進医療としてTIL療法を再発子宮頸がん患者に実施予定である。この検体を用いて、TILの認識抗原を検討し、研究を推進していく。
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