研究課題
Integrated Stress Response (ISR)は、細胞内の代表的な代謝ストレス応答経路であり、細胞防御機構として機能する。本研究では、がん化シグナルによるISR制御機構に焦点を当て、種々のがん化シグナルやその関連因子によるISR制御の分子機序ならびに腫瘍増殖における役割を明らかにし、ISRの治療標的としてのPOCを取得することを目指した。最終年度の今年度は、昨年度までの成果に基づき、以下の3項目に分け研究を行った。項目1)「ストレス応答機構を破壊する治療戦略の有用性検証」では、ISRを駆動するGCN2キナーゼを直接阻害する化合物とがん化シグナル標的薬について比較検討し、がん化シグナル標的薬は、GCN2阻害剤と異なり、活性化変異を有するがん細胞で選択的にISR活性化を阻害すること等を確認した。また、がん化シグナル標的薬とストレッサー抗がん剤との併用により、動物レベルで抗腫瘍効果が顕著に増強される組み合わせを見出した。項目2) 「がん特異的なISR制御機構の分子基盤解析」では、がん化シグナルの下流で、ISR制御に関与することを見出してきた翻訳開始因子eIF4Bについて、eIF4Bノックアウト細胞ではアミノ酸要求性が増大することを新たに見出した。また、小胞体ストレスに対する抵抗性因子となることを見出してきた活性型NRASについて、アポトーシス関連因子への影響や抵抗性を解除する化合物の探索を通じ、ストレス抵抗性賦与の機序解析を進めた。項目3)「ストレス応答の多様性解析に基づく創薬標的・バイオマーカーの探索」では、トランスクリプトーム・データから見えるストレス応答多様性とがん化シグナルとの関係について、遺伝的依存性(脆弱性)情報を含むデータベースを活用した検討を進め、活性化BRAFとISRの活性化の関連性を見出した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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