研究課題/領域番号 |
19H03531
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
宇賀 貴紀 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (50372933)
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研究分担者 |
熊野 弘紀 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (40568325)
三枝 岳志 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (70215523)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 脳・神経 |
研究実績の概要 |
環境に応じて柔軟に判断を切り替えるタスクスイッチングは、ヒトを含めた霊長類特有の適応的な認知機能である。我々はこれまで、2つの環境(ルール)に応じて柔軟に判断を切り替えるタスクスイッチ課題をサルに適用し、柔軟な判断の神経メカニズムを解明してきた。本研究では、本課題に重要であると思われる3つの脳領域間の相互作用の因果関係を解明することで、柔軟な情報収集を可能にする神経ネットワークメカニズムを明らかにする。そのため、判断形成における情報収集過程の基盤と考えられる大脳皮質MT野-LIP野間機能結合のダイナミックな変化を直接計測する手法を確立した。 MT野に単芯単点電極を、LIP野に単芯多点電極を刺入し、両領野間の局所電場電位(LFP)の位相同期(Phase locking value: PLV)を計測することで、MT野-LIP野間の機能結合を評価した。その結果、θ帯域(4-8Hz)とβ帯域(12-20Hz)で位相同期が見られることがわかった。β帯域位相同期は視覚刺激呈示200ms後に一過性のピークを持っていた。一方で、θ帯域位相同期は判断を伝えるためのサッケード運動の400msから100ms前にゆっくりとした位相同期の強化として見られた。 これらのことから、β帯域位相同期は、判断に関連する情報収集の開始に関連する信号を伝え、θ帯域位相同期は、収集する情報そのももの伝達に関連すると推察できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MT野-LIP野間結合のダイナミックな変化を直接計測する手法を確立できたため。
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今後の研究の推進方策 |
MT野-LIP野間の相互作用の因果関係を解明するため、電気刺激を使って回路操作を行う予定である。
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