研究課題/領域番号 |
19H03532
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
溝口 博之 名古屋大学, 環境医学研究所, 講師 (70402568)
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研究分担者 |
犬束 歩 自治医科大学, 医学部, 助教 (30584776)
片平 健太郎 名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (60569218)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | リスク志向 / 意思決定 / 島皮質 / 大脳基底核 |
研究実績の概要 |
依存症は世界銀行・WHOが報告するDALY(障害調整生命年)によると、世界トップ10に入る健康を脅かす疾患であり、ギャンブル障害、ゲーム障害などが新たに精神疾患として認定されるなど、今まで以上に身近な社会問題として懸念されている。申請者は、依存症の完治困難な原因に意思決定異常があることから、依存症抑止に向けたリスク志向な意思決定の解明を志し、島皮質がリスク志向な意思決定のハブ領域である可能性を見つけた。 本研究では、多種多様な遺伝子発現制御法と遺伝子改変ラットを用いて、島皮質を基軸とした意思決定・行動選択の変容に関わる領域間ネットワーク、神経-神経ネットワークを解明する。ラットの意思決定の解析は、ラット用ギャンブル試験を使用する(PNAS, 2015; Behav Brain Res, 2019)。この解析手法を用いると正常動物は、リスク回避行動を示すことが分かっている。初年度は、DRD2-Creラットを用いて間接路の神経脱落がリスク回避行動を促す可能性について例数を追加し、結論を得た。さらに、新規逆行性rAAV-Flp(FLP/FRTシステム)を用いると経路特異的に遺伝子を発現させることができることを免疫組織学的検討により確認した。また、DRD2-CreラットとRosa-tdTomatoラットとを交配させ、間接路特異的にtdTomatoが発現するラットを作製した。このラットを用いて、島皮質から入力する信号が間接路にどのような影響を及ぼすか、電気生理学的セットアップを行った。また、間接路特異的な遺伝子発現をコントロールするため、新たにCRISPR/Cas9システムの導入に向けたプロジェクトを発足させ、in vitroレベルでの構築を始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細胞活動の操作手技の確認、準備は終えているが、行動実験に着手できていない。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は昨年度より続けてきた電気生理学的手法を用いて、島皮質-線条体神経の活動のみを光遺伝学的手法により操作したときの、間接路、直接路への影響を検討する。さらに、逆行性rAAV-Flpを用いて、島皮質-線条体経路特異的にDREADDを発現させ、このラットを用いてギャンブル試験を行う。また、CRISPR/Cas9システムを構築し、間接路上の受容体を特異的にノックダウンさせることに挑戦する。
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