研究課題/領域番号 |
19H03532
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
溝口 博之 名古屋大学, 医学部附属病院, 准教授 (70402568)
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研究分担者 |
犬束 歩 自治医科大学, 医学部, 助教 (30584776)
片平 健太郎 名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (60569218)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | リスク志向 / 意思決定 / 島皮質 / 大脳基底核 |
研究実績の概要 |
本研究では、多種多様な遺伝子発現制御法と遺伝子改変ラットを用いて、島皮質を基軸とした意思決定・行動選択の変容に関わる領域間ネットワーク、神経-神経ネットワークを解明する。ラットの意思決定の解析は、ラット用ギャンブル試験を使用する(PNAS, 2015; Behav Brain Res, 2019)。この解析手法を用いると正 常動物は、リスク回避行動を示すことが分かっている。昨年度は、DRD2-Creラットを用いて間接路の神経脱落がリスク回避行動を促す可能性について例数を追加し、結論を得た。さらに、新規逆行性rAAV-Flp(FLP/FRTシステム)を用いると経路特異的に遺伝子を発現させることができることを免疫組織学的検討により確認した。また、DRD2-CreラットとRosa-tdTomatoラットとを交配させ、間接路特異的にtdTomatoが発現するラットを作製した。このラットを用いて、島皮質から入力する信号が間接路にどのような影響を及ぼすか、電気生理学的セットアップを行った。今年度はホールセルパッチクランプ法を用いて電気生理学的に島皮質からの線条体への入力の役割を検討した。島皮質-線条体回路にチャネルロドプシンを発現させ、線条体・側坐核の直接路、間接路への入力について検討した。しかし、思った以上に発現細胞の数の少なさから目的としていた結果は得られなかった。用いた手技には相当な発現細胞の数が必要であることが分かった。現在はc-Fos染色に切り替えて検討を行う事にした。また、昨年度間接路特異的な遺伝子発現をコントロールするため、新たにCRISPR/Cas9システムの導入に向けたプロジェクトを発足させ、in vitroレベルでの構築を始めた。今年度は作製したウイルスの効果を培養細胞系で検討したが、明確な反応は見られなかった。そこで、in vivoで検討することにし、現在行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ホールセルパッチクランプ法を用いて電気生理学的に島皮質からの線条体への入力の役割を検討したが、発現細胞の数の少なさから目的としていた結果は得られなかった。用いた手技には相当な発現細胞の数が必要であることが分かったので、現在はc-Fos染色に切り替えて検討を行う事にした。
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今後の研究の推進方策 |
島皮質-線条体回路特異的にDREADD(M3Dq)を発現させ、CNOを投与した時のc-Fos発現から線条体への入力が直接路、間接路のどの脳領域に入力しているかを検討する。最終年度であることから現在得られたデータを中心に論文化を目指す。
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