本研究の目的は、脳神経活動状態の変化を追跡し、それに基づいた非侵襲的神経刺激を行い、自閉スペクトラム症(ASD)当事者の認知的硬直性を緩和させることにあった。我々はまず、エネルギー地形解析を拡張し、脳活動依存型脳刺激装置を開発し、神経活動が行動や認知に及ぼす影響は、周囲の神経活動の履歴に左右されるということも明らかにした。この開発過程で、エネルギー地形解析の元となっているペアワイズ最大エントロピー法を新たなヒトの行動へ適用することにも成功した。これらの成果をもとに、高機能ASD当事者の認知的硬直性、感覚の硬直性、非言語情報の非定型的処理を制御することができることを実験的に明らかにした。
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