研究課題
ヒトの知性を支える経験や訓練による脳の神経可塑的変化が、GMVなどのマクロ指標として測定できることが明らかになってきた。この現象を脳構造マクロ可塑性と呼んでいるが、その背景となる神経細胞・分子メカニズムは未知である。われわれは、ラットのオペラント学習に伴い、学習中に活動が上昇する部位と一致して、小脳に脳構造マクロ可塑性が生じることを発見した。この現象の背景となる細胞分子生物学的な背景を探索しつつ、ヒトの画像研究により小脳GMVが増加する要件を絞り込むことを行った。ラットオペラント学習実験系を用いて、AMPA受容体 PETによる可塑性イメージングと顕微鏡を用いた細胞組織学的・遺伝子発現の検討を組み合わせ、AMPA受容体を発現しているシナプスの増加が脳構造マクロ可塑性に寄与しているという仮説を検証した。先行研究に基づいて、ラットのオペラント学習前後において [11C]K-2撮像と解析を行なったが、この手法をそのまま学習モデルに適応することは困難であることが判明した。そこで頭部固定装置を装着したラット8匹を3日間オペラント学習群とし、8匹を学習無しのコントロール群とする実験を実施した。現在、関心領域を設定する既存の解析方法を、全ボクセルを対象とするSPM方式に変更し、解析を進めている。京都大学の動物用7T MRIを用いて学習前後の撮像を行う実験系を確立した。蓄積しているラット脳検体にNissl染色や細胞種特異的マーカーを施し、GMV増大等の神経生物学的基盤を探っている。ヒト脳卒中亜急性期のリハビリテーション前後のMRI構造画像解析では、小脳GMVの増加量と運動指標回復量との相関を見出した(投稿中)。またプログラミング学習前後で前頭葉前部と小脳GMVの増加並びに淡蒼球GMVの低下を見出した。これらのGMV指標はプログラミング学習の評価指標と相関していた(投稿準備中)。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 4件)
Front Pychol
巻: online ページ: NA
10.3389/fpsyg.2022.824219
Med Sci Sports Exerc
巻: 54 ページ: 28-27
10.1249/MSS.0000000000002775
医学のあゆみ
巻: 280 ページ: 1121-1124
Brain Struct Funct
巻: 226 ページ: 2307-2319
10.1007/s00429-021-02330-8
J Psycholinguist Res
巻: 50 ページ: 723-736
10.1007/s10936-020-09716-5
Cereb Cortex
巻: 31 ページ: 4853-4863
10.1093/cercor/bhab127
Behav Brain Sci
巻: 44 ページ: e128
10.3389/fnsys.2021.777706