研究課題/領域番号 |
19H03537
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
黄田 育宏 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳機能解析研究室, 副室長 (60374716)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 機能的MRI / 定量化 / 酸素代謝 / 脳血流量 / 高分解能 / 超高磁場 / 脳機能計測 / 脳血液量 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、超高磁場MRIにおける機能的MRI(fMRI)を用いて各領域の活動量を計測するためにfMRI信号の定量化を目指す。そのためには、fMRIを含めたマルチモダル計測法を開発し、脳酸素代謝計測法を確立する。今年度は、以下の検討を行った。 fMRI信号の定量化を目指すために精度の高い脳活動領域の同定は不可欠である。そのため、MRI脳構造画像から我々が開発した脳組織分離法の精度を上げる検討を行った。超高磁場MRIのT1強調構造画像では、脳血管、特に動脈の信号が強く現れる。病院などのMRI装置では、それらの信号は見られないので、T1強調画像を用いた脳組織分離は問題とならないが、超高磁場MRI装置における構造画像では問題となる。我々は、新たに解析アルゴリズムを開発し、構造画像から脳血管と脳組織の分離に成功した。一般的に、MRIで脳血管情報を得るには、構造画像に加えて血管だけを撮像する方法を利用する。本手法は、脳組織分離精度を上げるだけでなく、構造画像の取得のみで血管情報も得られるために、撮像時間の短縮につながる。 高解像度脳血流量計測法では、昨年度に検討したASL法により安静時のCBF計測を行った。次に、高い時間分解能での脳血流測定を行うために、BOLD効果による信号も同時に取得できるEPI法を利用した検討を行っている。ヒト視覚野においてサブミリメートルの空間分解能でのEPI法によるBOLD信号の計測に成功した。これらの信号から縦緩和時間の抽出を行い、脳血流計測への検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の目標であったMRI構造画像からの脳組織分離法の確立および精度の向上、超高磁場MRI装置における脳血流量計測の安定的な撮像、高い時間分解能を有する脳血流計測の実現に向けた解析など、現時点での進捗を評価するとおおむね順調であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の実施計画に沿って研究を進める。今年度に実施した高時間分解能の脳血流量計測に加えて、より高い空間分解能での脳血流計測、加えて別のモダリティである脳血液量の計測も行う予定である。
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