| 研究課題/領域番号 |
19H03540
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| 研究機関 | 関西医科大学 |
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研究代表者 |
中村 加枝 関西医科大学, 医学部, 教授 (40454607)
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| 研究分担者 |
永安 一樹 京都大学, 薬学研究科, 助教 (00717902)
山中 航 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 助教 (40551479)
安田 正治 関西医科大学, 医学部, 講師 (90744110)
石井 宏憲 関西医科大学, 医学部, 助教 (30636676)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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| キーワード | 拡張扁桃体 / 黒質網様体 / 背側縫線核 / 自律神経反応 / 負の情動 / 扁桃体中心核 / 情動 / 大脳基底核 |
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| 研究実績の概要 |
1.2019-2020にかけて記録した異なる情動下で認知課題を行うサルから得た行動・自律神経反応の解析を行った。嫌悪刺激が提示されるストレス状況下では（１）行動面：運動開始や反応時間が極端に短縮、適切でない選択行動の頻度の増加（２）自律神経反応：嫌悪刺激が提示された場合の瞳孔径増大・顔面温度低下が認められた。顔面温度と瞳孔径については総説を発表した（Kuraoka and Nakamura 2022 Neuroscience Research）。２．大脳基底核線条体・黒質網様部、そしてセロトニン細胞が存在する背側縫線核の神経活動が、行動課題遂行中のストレスのレベルによって変化する時間経過を解析した。いずれの領域の細胞群も、嫌悪刺激提示によるストレスレベルが高い状態で発火が高いもの・低いものが存在する。特に、背測縫線核のストレスが高い時に発火が高いタイプは、発火が高い場合はストレス下でも正しい選択ができたときに発火が強くなることを明らかにできた。
光遺伝学的操作については、組織的解析をさらにすすめ、ウイルスベクター注入部（背測縫線核）だけでなく、黒質網様部・緻密部・腹側被蓋野といった背測縫線核セロトニン細胞の投射先でも、TPH2 GFP共染色を確認した（永安）。
山中（分担者）はラットの古典的条件付けにより、嫌悪条件刺激に対しては血圧低下・心拍低下、報酬条件刺激に対しては血圧・心拍上昇という心血管系の変化が見られることを明らかにした。さらに、報酬条件における血圧・心拍上昇を引き起こす神経機構として、両側扁桃体中心核にGABAA受容体アゴニスト（ムシモール）を注入したところ報酬条件における血圧・心拍上昇が抑制された。従って情動による心拍・血圧の変化は扁桃体中心核が関与することが解明された。結果はFrontiers in Physiologyにacceptされた 。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サルにおいて異なる情動下での行動・神経活動についてほぼデータが出そろった。新たな試みであったウイルスベクター注入とその刺激のシステムを確立することができた。また、情動の客観的指標としての自律神経応答についての総説を発表できた（Kuraoka and Nakamura, 2002 Neuroscience Research）。また、ラットにおいても行動課題における自律神経反応の変化に加え、扁桃体中心核のムシモール注入により因果関係を明らかにできた。結果はFrontier Physiologyに採択された。
一方、サルにおいては拡張扁桃体（扁桃体中心核・BNST)における神経活動記録を進める必要がある。ラットにおいては、光遺伝学実験のセットアップを進める必要がある。
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| 今後の研究の推進方策 |
サル（安田・中村・永安）においての、異なる情動下での行動課題のパフォーマンス・自律神経反応と大脳基底核諸核・背測縫線核神経活動記録についての論文執筆を完成させる。
また、光遺伝学実験のサル脳の組織解析を進め、背測縫線核とその投射部位である黒質網様部・緻密部・腹側被蓋野の光遺伝学的操作による反応時間の変化についても解析を完成させ、論文執筆を進める。
ラットについては、光遺伝学的操作に必要なセットアップを進め、セロトニンmodulationによる、異なる情動下での心拍・血圧変化について明らかにしていく予定である（山中）。
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