研究課題/領域番号 |
19H03544
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
田渕 克彦 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (20546767)
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研究分担者 |
付 ゆう 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (30830301) [辞退]
森 琢磨 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (70545798)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | CASK / MICPCH症候群 / 神経発達障害 / X染色体不活性化 |
研究実績の概要 |
小頭症を伴う小脳橋低形成症候群(microchephaly with pontine and cerebellar hypoplasia syndrome; MICPCH syndrome)の疾患モデルであるCASK雌ヘテロノックアウトマウスについて、X染色体不活性化を可視化するために、X染色体上にあるhprt遺伝子座にeGFP発現カセットを挿入したHprt-eGFPマウスとCASKノックアウトマウスを交配し、Hprt-eGFPとCASK KOがそれぞれ二つのX染色体の一方ずつを分け合うトランスヘテロ接合マウスを作成した。このマウスでは、eGFPを発現する細胞は、Hprt-eGFP遺伝子座を有するX染色体が生き残り、CASKがノックアウトされたX染色体は不活性化されているので、CASKが正常に発現機能しており、一方eGFPの発現が見られない細胞は、CASKがノックアウトされたX染色体が生き残ってCASKが正常であった側のX染色体が不活性化されていることになり、CASK欠損細胞ということになる。この状態で、小脳の組織切片を観察すると、プルキンエ細胞は生後6日目頃から既にCASK欠損細胞の数がほとんど見られなくなり、一方、顆粒細胞は、生後6日目はCASK欠損細胞もCASK正常細胞とほぼ同じ割合でみとめられ、その後成熟するに伴って徐々に数が減少し、生後35日ごろまでにはCASK欠損細胞はほとんど見られなくなっていた。CASK正常細胞の減少は特段見られなかったため、CASK欠損が、細胞自律的な影響により細胞死を起こしていることが示唆された。また、CASK floxマウスの小脳顆粒細胞分散培養を作成し、レンチウィルスによりCre組換え酵素を導入してCASKノックアウトニューロンを作成したところ、CASKノックアウトニューロンは培養下でも顕著な細胞死を起こすことが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通り、X染色体不活性化を可視化して意義のある解析ができたことに加え、当初計画していた以上の研究を行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
小脳顆粒細胞培養でのCASKノックアウトに対して、CASKの各ドメインを除去したコンストラクトを導入したり、CASKの点変異を導入するなどしてレスキュー実験を行い、小脳細胞死を引き起こすメカニズムに関連しているCASKのドメインや、機能について詳細に解析を行う。
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