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2020 年度 実績報告書

自己免疫性自律神経節障害の「多様性」に関する多角的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19H03549
研究機関熊本大学

研究代表者

中根 俊成  熊本大学, 病院, 特任教授 (70398022)

研究分担者 池田 徳典  崇城大学, 薬学部, 准教授 (00613530)
佐藤 伸一  東京大学, 医学部附属病院, 教授 (20215792)
田村 直人  順天堂大学, 医学部, 教授 (20227284)
樋口 理  独立行政法人国立病院機構長崎川棚医療センター(臨床研究部), その他の研究科, 研究員(移行) (50361720)
鈴木 隆二  独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), 臨床免疫研究室, 室長 (70373470)
坪井 洋人  筑波大学, 医学医療系, 講師 (80580505)
伊原 栄吉  九州大学, 医学研究院, 准教授 (80612390)
宋 文杰  熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (90216573)
川上 純  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (90325639)
佐藤 和貴郎  国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 免疫研究部, 室長 (90469990)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード自己免疫性自律神経節障害 / 自己抗体 / 自律神経節アセチルコリン受容体 / 自律神経障害 / 自律神経外障害 / 膠原病 / 小児神経
研究実績の概要

当該年度は自己免疫性自律神経節障害(autoimmune autonomic ganglionopathy, AAG)の臨床像を明確にするための臨床研究の総括に注力した。AAGにおいては広範な自律神経障害を呈することが知られているが、それが全てではない。部分的な自律神経障害を呈する場合もあり、自律神経障害がどのドメインに出現しやすいか、を知ることは臨床的課題であった。またこれまでにわれわれが言及してきたように自律神経外障害の存在についても包括的検討が必要であった。これらを解明するために、本邦においてわれわれが把握している抗自律神経節アセチルコリン受容体(gAChR)抗体陽性AAGの179症例の陳正造解析を行った。その結果、1)自律神経障害は広範ではあるものの特に起立不耐・起立性低血圧や便秘などの下部消化管障害が高頻度、2)自律神経外障害は約80%に確認され、中枢神経系症状(特に脳症状:性格変化、記銘力障害、パーキンソニズム、失調など)、感覚障害(手足のジンジン感)などの症状の存在が確認された(それぞれ33%と45%)。他に内分泌障害(SIADHや無月経など)が15%、自己免疫疾患(シェーグレン症候群、自己免疫性甲状腺疾患など)の併存が30%、腫瘍(肺癌、卵巣腫瘍など)合併が11%と判明、3)抗gAChR抗体はalpha3サブユニットとbeta4サブユニットに対する抗体が存在するが、beta4サブユニットに対する抗体を有するケースの臨床的特徴を解明(発汗障害、上部消化管障害、排尿障害などが高頻度)、4)診断および経過判断のツールとしてMIBG心筋シンチが有用、であることを報告した。
これらに加え、膠原病における自律神経障害の臨床と研究の現況をまとめ、強皮症における消化管運動障害を有する症例の臨床的特徴とバイオマーカー解析の結果を報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

臨床研究として膠原病やサルコイドーシスにおける自律神経障害、さらに小児における自己免疫性自律神経節障害に関する解析を終え、これらについては論文報告した。また基礎研究ではニコチン性アセチルコリン受容体アルファサブユニットのペプチドによる能動免疫モデルを終え、ほぼ論文化終了している。

今後の研究の推進方策

以下のin vitroでの解析を進めていく。
1)自己抗体サブクラス、エピトープ解析:患者血清・健常対照血清を用いてのルシフェラーゼ免疫沈降、cell-based assayによる抗gAChR抗 体サブクラスの解析を行う。自己抗体のIgGサブクラスの解明は免疫病態として補体の介在があるかどうかを見極める、そして治療手段の解明 に繋がる研究である。抗gAChR抗体の作用によってgAChRが内在化に至るかを検討する。また抗gAChR抗体のエピトープ解析を行う予定である。
2)末梢血リンパ球を用いた解析:「純粋な自律神経障害のみのAAG」、「extra-autonomic manifestationsの併存するAAG」、「膠原病の併存 するAAG」と3群に分け、それぞれの群から最低5症例から末梢血リンパ球を採取し、下記の検討を行う.フローサイトメトリーによるT細胞・ B 細胞分析を行い、T細胞系では制御性T細胞、B細胞系ではplasmablastなど免疫病態に関わるサブセットの変化を調査する。また末梢血リンパ 球より抽出したRNAにて次世代シークエンスによるT細胞・B細胞抗原受容体のレパトアとクローン性を定量的に解析する。
3)パッチクランプを用いた解析:gAChRが発現した細胞を用いて抗体陽性AAG患者血清・健常対照血清・各種薬剤(gAChRのアゴニスト,アン タゴニスト)等を灌流して細胞膜上のチャネル活動を測定し、それぞれの灌流液、特に患者血清での変化を評価する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 4件)

  • [雑誌論文] gAChR antibodies in children and adolescents with acquired autoimmune dysautonomia in Japan.2021

    • 著者名/発表者名
      Yamakawa M, Watari M, Torii KI, Kuki I, Miharu M, Kawazu M, Mukaino A, Higuchi O, Maeda Y, Ikeda T, Takamatsu K, Tawara N, Nakahara K, Matsuo H, Ueda M, Takahashi T, Nakane S
    • 雑誌名

      Ann Clin Transl Neurol.

      巻: 8 ページ: 790-799

    • DOI

      10.1002/acn3.51317

  • [雑誌論文] Autoimmune gastrointestinal dysmotility: the interface between clinical immunology and neurogastroenterology.2020

    • 著者名/発表者名
      Nakane S, Mukaino A, Ihara E, Ogawa Y.
    • 雑誌名

      Immunol Med

      巻: Epub ページ: Epub

    • DOI

      10.1080/25785826.2020.1797319

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Antibodies to the α3 subunit of the ganglionic-type nicotinic acetylcholine receptors in patients with autoimmune encephalitis.2020

    • 著者名/発表者名
      Yamakawa M, Mukaino A, Kimura A, Nagasako Y, Kitazaki Y, Maeda Y, Higuchi O, Takamatsu K, Watari M, Yoshikura N, Ikawa M, Sugimoto I, Sakurai Y, Matsuo H, Ando Y, Shimohata T, Nakane S.
    • 雑誌名

      J Neuroimmunol

      巻: Epub ページ: Epub

    • DOI

      10.1016/j.jneuroim.2020.577399

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 小児における自己免疫性自律神経節障害の臨床的特徴2021

    • 著者名/発表者名
      中根俊成
    • 学会等名
      48回日本臨床免疫学会総会
  • [学会発表] VGKC複合体抗体関連疾患、スティッフパーソン症候群、自己免疫性自律神経節障害2021

    • 著者名/発表者名
      中根俊成
    • 学会等名
      第41回日本アフェレシス学会学術大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 自己免疫性自律神経節障害の過去・現在・未来2021

    • 著者名/発表者名
      中根俊成
    • 学会等名
      第38回日本神経治療学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] 神経筋接合部疾患における自己抗体測定2021

    • 著者名/発表者名
      中根俊成
    • 学会等名
      第50回日本臨床神経生理学会学術大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 自己免疫性自律神経節障害 =今、われわれがわかっていること=2020

    • 著者名/発表者名
      中根俊成
    • 学会等名
      第61回日本神経学会学術大会
    • 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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