研究課題
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、上位および下位運動ニューロンの選択的変性・脱落を特徴とする神経変性疾患である。近年、下位運動ニューロンの変性メカニズム研究が格段に進展しているなか、上位運動ニューロンに関する研究はほとんど進んでいない。これまで我々は、上位運動ニューロン優位に変性する家族性2型ALSに注目し、その原因遺伝子産物であるALS2分子ネットワーク機能を明らかにしてきた。さらに最近、ヒトiPS細胞から上位運動ニューロンの特徴を有する神経細胞の分化培養法の確立にも成功した。本研究は、これらの研究成果を発展させ、世界初となるヒト上位運動ニューロン変性モデルを作製し、ALS2分子ネットワーク異常を中軸にした細胞機能解析を行うことにより、ALS患者における上位運動ニューロン変性分子メカニズムの解明に挑むものである。本研究計画では、1)ヒトiPS細胞の上位運動ニューロンへの分化誘導と長期培養法の確立、2)マイクロ流体デバイスを用いたオルガネラ動態の時間空間的解析、3)ALS2分子ネットワークを介したオルガネラ動態調節分子メカニズムの解析、の3つの研究テーマについて研究を進めている。研究最終年度である令和4年度は、特にテーマ1および3について成果が得られた。具体的には、これまで作製してきた大脳皮質系興奮性ニューロンよりさらに上位運動ニューロンを誘導するために必要な誘導候補因子を同定するとともに、神経組織においては末梢組織に存在するALS2複合体とは異なる神経特異的ALS2複合体が存在することを発見した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 4件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Biochemical and Biophysical Research Communications
巻: 638 ページ: 168~175
10.1016/j.bbrc.2022.11.061
Neurobiology of Aging
巻: 123 ページ: 191~199
10.1016/j.neurobiolaging.2022.11.001
Neurochemistry International
巻: 158 ページ: 105364~105364
10.1016/j.neuint.2022.105364
Molecules
巻: 27 ページ: 7063~7063
10.3390/molecules27207063
Cell Reports Methods
巻: 2 ページ: 100352~100352
10.1016/j.crmeth.2022.100352
Drug Discovery Today
巻: 27 ページ: 1652~1660
10.1016/j.drudis.2021.12.018
http://mls.med.u-tokai.ac.jp/hadano/