研究課題/領域番号 |
19H03555
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
清水 律子 東北大学, 医学系研究科, 教授 (40226262)
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研究分担者 |
平野 育生 東北大学, 医学系研究科, 助教 (00708117)
長谷川 敦史 東北大学, 医学系研究科, 助教 (80747460)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 純赤白血病 / GATA1 |
研究実績の概要 |
ヒト純赤白血病は比較的稀な白血病であり、その発症メカニズムの詳細は分かっていない。我々は、赤血球造血に必須な転写因子GATA1の機能異常が純赤白血病発症に関与している可能性を考えている。GATA1遺伝子はX染色体上に存在するため、GATA1遺伝子に変異をヘテロに持つマウスは変異アリルが活性化した細胞と野生型アリルが活性化した細胞が共存する。GATA1ノックダウンアリルを持つヘテロ雌(G1KD)は、GATA1ノックダウンアリルが活性化した細胞由来の細胞がドライバー遺伝子変異を獲得してcKit陽性CD71陽性の純赤白血病を発症するが、GATA1遺伝子を完全にノックアウトしたアリルをヘテロにもつ雌マウスは白血病を発症しない。この事象には、ノックアウトではアポトーシスシしてしまう赤芽球前駆細胞が、ノックダウンでは僅かに存在するGATA1により分化できないまま残存するため、蓄積した赤芽球にドライバー変異が蓄積するためだと考えられる。そこで、本年度は、Balb/c系統のG1KDに誘導的に活性化型Rasを発現させる実験系を構築した。G1KDの白血病発症率はマウス系等により大きく異なり、Balb/c系統のG1KDは白血病を発症しないことが分かっている。Balb/c系統のG1KDマウスでも赤芽球系前駆細胞が蓄積していることが分かっているので、ドライバー変異となる恒常的Ras活性化を後天的に導入することで。白血病発症を誘導できると考えている。また、白血病を発症しないBalb/c系統と、白血病を発症しやすい129sv系統の交配で得られたF2世代のG1KDの白血病発症について検討し、白血病を発症しなかったF2マウスを35匹、白血病発症を確認できたF2マウスを65匹以上得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
白血病を自然発症するマウスを用いているため、産仔を得る前に発症しいてしまうことがたびたび生じる。目的の数の解析動物を得るために、発症率を加味したマウスの産出を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
Balb/c系統のG1KDに誘導的に活性化型Rasを発現させる実験系を構築したので、実際にRasを誘導発現させて白血病を誘導できるか否かを観察する。白血病を誘導できた場合は、例数を重ねると共に、白血病細胞の血液学的、分子生物学的解析を行って、Rasシグナルの活性化の純赤白血病発症に関与についての解析を進める。また、Balb/c系統と129sv系統のF2マウスを目的数得られたので、SNP解析を開始する。
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