研究課題
消化管は多くの役割を併せ持つユニークな臓器である。研究代表者らの最近の研究から、基礎リズムを発生するカハール間質細胞(ペースメーカ)のネットワークが、消化管連携的興奮において重要な働きをすることが分かってきた。独自に開発した透析膜補強・微小電極アレイ法を用いて、消化管ペースメーカの連携興奮を安定的に可視化できた。アレイデータを画像化し、小腸微小領域での興奮連携をいくつかのパターンに分類できることが分かった。5-HT投与は、活動が拡大するExpandingパターンから活動が移動するmigratingパターンへの頻度を増加させた。これは、5-HTの持つ蠕動促進効果と一致しており、ペースメーカ細胞ネットワークの消化管連携運動への働きを説明する結果と考えられた。一方、腸内細菌によりトリプトファンから合成される3-IPAは、ペースメーカ活動を抑制した。腸内細菌の変動による、トリプトファン代謝を介した腸の運動性調節が示唆された。これらの(ビデオ)画像解析結果を客観的に評価するため、深層学習を応用した評価プログラムの製作に取り組んでいる。まず連携活動の分類方法を単純化して画像認識を行っている(例えば、観察領域内からの活動発生か、外側から内部への活動の移動かの分類)。消化管などの筋細胞にCaセンサタンパクを発現したトランスジェニックマウスを使用し、細胞内Caを計測したところ、部位依存的なCa活動の存在が分かってきた。近位部ではペースメーカ活動様の緩徐な自発性Caオシレーションが観察され、中部から遠位部では結腸に特異的と謂われる結腸伝搬性運動複合体(CMMC) に相当する、不完全テタヌス様のCa上昇の重積によるCaウェーブ複合体が観察された。画像トラッキングプログラムを製作し、輪走筋と縦走筋方向の収縮に分解して、運動性の特徴を解析している。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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https://www.nagoya-u.ac.jp/researchinfo/result/2022/05/post-252.html