研究課題
分子標的薬をはじめとするがんに対する新規治療薬が次々に開発されている。しかしながら、初期治療が有効であっても、多くのがんにおいて耐性が生じ、このことが患者死亡の大きな原因となっている。治療抵抗性の難治性がんの研究は数多くされているが、未だ多くのケースにおいてその分子メカニズムは不明である。治療抵抗性のメカニズムの解明および新たな治療標的分子の同定のための新しい研究アプローチの開発が強く期待されている。MLL遺伝子転座を伴う急性骨髄性白血病(MLL-AML)は強い抗がん剤を用いた治療や骨髄移植をおこなっても再発しやすい治療抵抗性を示し、予後は不良である。MLL-AMLの治療抵抗性メカニズムの解明および新たな治療標的分子の同定が強く期待されている。申請者らは治療抵抗性を獲得したMLL-AMLモデルマウスを作成し、白血病細胞のゲノム解析により、新規遺伝子変異GNB2 G77Rを同定した。GNBは、3量体Gタンパク質のβサブユニットであり、Gタンパク質共役受容体(GPCR)の下流で機能するシグナル分子である。本研究では、MLL-AMLマウスおよびGNB遺伝子をモデルとして利用し、難治性がんに対する新規の診断法・治療法の開発システムを構築する。GNB変異を有する患者由来患者腫瘍組織移植モデル(Patient-derived xenografts, PDX)を樹立し、治療薬候補としてある新規抗がん剤を用いた薬理実験を実施した。標的分子の活性が抑制されているかどうかをリン酸化抗体を用いたウエスタンブロットにより確認した。このPDXモデルにおいて、薬剤の投与によるマウス生体内での腫瘍の退縮、および、マウスの生存の有意な延長を確認した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021
すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)