研究課題
1 フコシル化ハプトグロビンを認識する次世代型糖鎖抗体10-7G mAbの検討:10-7G抗体のエピトープを決定するために、ハプトグロビンのdeletion mutant 発現ベクターを作成しHEK293に遺伝子導入した。WB法により、α鎖に存在するアミノ酸構造を絞りこみ、大阪大学理学部梶原康宏教授との共同研究によって合成ペプチドを作成、定法のアラニン置換などを用いてELISAによる最終のエピトープを決定した。さらに、10-7Gがフコシル化ハプトグロビンやプロハプトグロビンを認識する状態を、シミュレーションモデルで検証した。以上の成果を、Analytical Biochemistryに公表した。さらに、10-7G抗体を使ったELISA系を構築した。2 フコシル化Mac-2bpに対する次世代型糖鎖抗体を用いた研究:独創的なスクリーニング法によって得られたフコシル化Mac-2bpを認識する次世代型糖鎖抗体の中で、19-8Hと6-4Fが興味深い反応性を示したので、さらなる解析を行った。いくつかのMac-2bpの発現ベクターを作成し、HEK293細胞に遺伝子導入したが、一部のMac-2bpは細胞上清中に分泌されなかった。3 AFP-L3に対する次世代型糖鎖抗体を用いた検討:市販のAFP抗体とAFP-L3抗体を使ったELISA作成を試みた。また、いくつかの培養肝がん細胞(HepG2, Hep3B, Huh7)を用いて細胞染色を行った。revised中だったAFP-L3抗体の論文をSci. Reportに公表した。フコシル化バイオマーカーに関する共同研究は、バイオマーカーを画像診断に応用した研究成果で新たな実績が出た。
2: おおむね順調に進展している
10-7G抗体のエピトープ決定と認識シミュレーションの研究成果は、予想以上に早く研究が進んだ。研究項目2と3に関しては少し難航しているが、次世代型糖鎖抗体は、各抗体ごとに色んな特徴を持つ点が面白い。新型コロナウイルスの影響で、ELISAプレートの作成が大幅に遅れたのは残念である。
10-7G抗体のELISAで、がんや炎症疾患の血中フコシル化ハプトグロビンを測定し、新たなバイオマーカーとしての価値を評価する。また、各疾患で10-7G値が上昇するメカニズムを免疫組織染色や培養細胞によるin vitroの実験で検証したい。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (30件) (うち国際学会 6件、 招待講演 4件) 図書 (2件)
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