研究課題
①尿中PGDMは、即時型アレルギー症状誘発のバイオマーカーとなりうる可能性があるが、自律排尿が困難な乳幼児においては利用しづらい。そこで、経口食物負荷試験を実施した乳児17名について、負荷前と負荷後4.5時間の時点で、着用していた紙オムツを回収し、高分子吸収体から尿を抽出して調べることで、尿中PGDMの計測が可能か検討した。17人中14人で、食品負荷前後で尿を採取することができ、このうち10名が負荷試験陽性で、何らかのアレルギー症状が見られた。負荷試験陽性の児では、負荷前後での尿中PGDM比が高値となる傾向があり、オムツを用いた尿採取でもPGDMを適切に評価できる可能性が示された。ただし、負荷試験陰性ながらPGDM比が高値となるなど、非特異的な変化が見られる例が一部あり、さらなる検討が必要と考えられた。②二重盲検食物経口負荷試験(DBPCFC)を実施した45人対して、負荷食品摂取前と摂取4時間後の尿中PGDMを測定した。データが採取できた39人の尿中PGDM比(摂取4時間後 /負荷食摂取前)を評価すると、実物を摂取した日の尿中PGDM比は、無症状だった児と比較してアレルギー症状を誘発した児で有意に上昇を認めた。また、無症状であった児においても尿中PGDM比は、プラセボ摂取日と比較すると実物摂取日において有意差は無いものの上昇傾向が見られた。以上から、尿中PGDMは、即時型アレルギー症状を客観的に検出し、サブクリニカルなアレルギー症状も検出できる可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
上記に関して学会発表は済み、現在論文を投稿予定である。
上記研究の継続と、消化管アレルギーに関しても研究を進めていく。
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Frontiers in Pediatrics 2021; 8.
巻: 8 ページ: 1,6
10.3389/fped.2020.583224