• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実績報告書

プリオン病発病抑制に関わるセルロースエーテル感受性遺伝子の同定

研究課題

研究課題/領域番号 19H03570
研究機関東北大学

研究代表者

堂浦 克美  東北大学, 医学系研究科, 教授 (00263012)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード遺伝子解析 / プリオン / 防御機構 / セルロース誘導体 / 感受性
研究実績の概要

申請者は、食品添加物等として日常摂取しているセルロースエーテル(CE)が、プリオンに対して優れた発病抑制効果や曝露前予防効果を発揮することを発見している。CEがどのような作用機序で効果を発揮しているかはわかっていない。このCE効果には明瞭なマウス系統差が存在し、代表的な高感受性マウスでは生涯にわたり発病をのがれるのに対して、代表的な低感受性マウスでは未投与群と差がないほど発病抑制効果が出ない。そこで、CEの作用機序解明を目指して、CE感受性遺伝子を同定することを目的として高感受性マウスを低感受性マウスで戻し交配し、プリオンを感染させてCE効果を評価してきた。そこで、第2~第6世代の高感受性マウスと低感受性マウスの検体を用いて、ゲノム解析を繰り返して行い、CE感受性に関連するゲノム領域を絞り直してきた。また、並行して実施していたCE高感受性マウスとCE低感受性マウスの脳組織検体でのプロテオミクス解析では、ディファレンシャルな発現プロファイルを示す複数のタンパク質スポットを見つけだし、それらのタンパク質の同定作業を進めた。その結果、第14番染色体上の特定の遺伝子がCE高感受性マウスとCE低感受性マウスで異なる遺伝子多型を示すことを突き止めた。併せてこの遺伝子を含むゲノム領域が、CE感受性と相関するゲノム領域であることも、隣接する遺伝子群のシークエンス解析とCE感受性との関連解析から明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初、第2~第4世代のCE高感受性マウスとCE低感受性マウスの検体を用いて抽出した候補ゲノム領域には目的遺伝子が存在しないという予想外の結果が得られた。そこで、あらためて2世代分の検体を追加して第2~第6世代のCE高感受性マウスとCE低感受性マウスの検体でゲノム候補領域を一から解析し直し、かつCE高感受性マウスとCE低感受性マウスの検体でのプロテオミクス解析や、他のビボ実験やビトロ実験も実施して、候補となるゲノム領域あるいは目的遺伝子を絞り込む手がかりを得ようとしたため。

今後の研究の推進方策

これまでの研究で蓄積しているCE感受性が判明している多種類のマウス検体を用いた確認作業を引き続き行って、このゲノム領域に目的遺伝子が存在することを確認した上で、目的遺伝子を探し出す。また、引き続き、コンジェニック化が進んだ第6世代を掛け合わせて産まれたマウスにおいて、このゲノム領域に含まれる遺伝子の中で、CE投与下で末梢あるいは脳で発現変動が起こる遺伝子を調べて、シークエンス解析結果と合わせて目的遺伝子候補を絞る。絞り込んだ目的遺伝子候補は、プリオン持続感染細胞においてジーンターゲッティング技術で遺伝子改変を行い、あるいは遺伝子導入や遺伝子ノックダウンによる遺伝子発現の改変を行い、CE存在下/非存在下でのプリオン増殖に及ぼす影響を調べる。これらのプリオン持続感染細胞を用いた参照実験で、目的遺伝子であることが支持されるものについては、ゲノム編集動物の作出に向けて準備を進める。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] カルガリー大学(カナダ)

    • 国名
      カナダ
    • 外国機関名
      カルガリー大学
  • [雑誌論文] Prion protein lowering is a disease-modifying therapy across prion disease stages, strains and endpoints.2020

    • 著者名/発表者名
      Minikel EV, Zhao HT, Le J, O'Moore J, Pitstick R, Graffam S, Carlson GA, Kavanaugh MP, Kriz J, Kim JB, Ma J, Wille H, Aiken J, McKenzie D, Doh-ura K, Beck M, O'Keefe R, Stathopoulos J, Caron T, Schreiber SL, Carroll JB, Kordasiewicz HB, Cabin DE, Vallabh SM.
    • 雑誌名

      Nucleic Acids Res.

      巻: 48(19) ページ: 10615-10631

    • DOI

      10.1093/nar/gkaa616.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Prophylactic anti-prion effects of cellulose ether compounds depend on host mouse strains.2020

    • 著者名/発表者名
      Kenta Teruya, Keiko Nishizawa, Ayumi Oguma, Katsumi Doh-ura.
    • 学会等名
      第57回ペプチド討論会
  • [学会発表] Characterization of the effects of curcumin related compounds on two prion strains.2020

    • 著者名/発表者名
      Sara Iwabuchi, Kenta Teruya, Miki Matsui, Hiroyuki Konno, Katsumi Doh-ura.
    • 学会等名
      第57回ペプチド討論会
  • [備考] 東北大学大学院医学系研究科神経化学分野

    • URL

      https://www.neurochemistry.med.tohoku.ac.jp/

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi