研究課題/領域番号 |
19H03580
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
橋本 隆紀 金沢大学, 医学系, 准教授 (40249959)
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研究分担者 |
紀本 創兵 奈良県立医科大学, 医学部, 学内講師 (00405391)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | パルブアルブミン / ソマトスタチン |
研究実績の概要 |
本年度は、健常対照例から得られた背外側前頭前野の組織切片を用い、ミュー型オピオイド受容体(MOR)を発現するニューロン種の同定を、2重標識 in situ hybridization (ISH)により、MORは35Sで放射標識したRNAプローブと介在ニューロンのサブタイプマーカーmRNAをdigoxigenin (DIG)で標識したRNAプローブを用いて行った。まずMORのRNAプローブによる特異的MORシグナルの検出のため、4名の健常者の切片でMORプローブ単独によるISHを行い、プローブが乳剤に形成する銀粒子の密度を、804個のニューロンと924個のグリアの核の周囲で行い、グリアにおける平均密度の3倍をMOR陽性と判断する閾値として定義した。介在ニューロンサブタイプはパルブアルブミン(PV)とソマトスタチン(SST)に対するDIG標識RNAプローブでそれぞれ染色した。MORとPVの2重ISHでは、各症例あたりPVニューロン273±186個、MOR陽性ニューロン1262±842個を特定した。PVニューロンの中でMOR陽性のものは17.5±3.5%、MORニューロンの中でPV陽性のものは3.5±1.3%であった。同様にMORとSSTの2重ISHでは、SSTニューロン237±113個、MOR陽性ニューロン1215±366個を特定した。SSTニューロンの中でMOR陽性のものは35.8±8.7%、MORニューロンの中でSST陽性のものは9.8±4.1%であった。PVおよびSSTとの2重標識ISHにおいて、MOR発現ニューロンの大部分(97%および90%)はPV陽性でもSST陽性でもなかった。錐体ニューロンと介在ニューロンが大脳皮質ニューロンのそれぞれ75%および25%を占め、PVニューロンやSSTニューロンが介在ニューロンのそれぞれ25%を占めることを考慮すると、MORは錐体ニューロンにも発現していることが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミュー型オピオイド受容体は、介在ニューロンの特定のサブタイプ特異的に発現しているのではなく、パルブアルブミン陽性およびソマトスタチン陽性のサブタイプの一部に発現しており、他のニューロン種、特に錐体ニューロンの多くにも発現していることを示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
介在ニューロンのサブタイプである血管作動性腸ぺプチド陽性ニューロンおよび錐体ニューロンのマーカーとミュー型オピオイド受容体の2重ISHを行い、2019年の結果から示唆された幅広いニューロン種における発現を確認する。また、ミュー型オピオイド受容体発現増加の疾患特異性を調べるため、統合失調症だけでなく双極性感情障害および大うつ病性障害での発現変化を検討する。
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