研究課題/領域番号 |
19H03588
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
宮川 卓 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 副参事研究員 (20512263)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ナルコレプシー / ゲノム / 睡眠 / 過眠症 / アシルカルニチン / 脂肪酸代謝 / 人類遺伝学 |
研究成果の概要 |
ナルコレプシー患者及びコントロールの脳脊髄液(CSF)及び血液を対象にメタボローム解析を実施した。CSFのメタボローム解析では、コントロール群に比べて、ヒスチジンの濃度がナルコレプシー群で有意に高く、逆にヒスタミン濃度はナルコレプシー群で有意に低いことがわかった。血液のメタボローム解析ではアシルカルニチン解析を実施し、複数の長鎖アシルカルニチンの濃度が、ナルコレプシー群において、低値を示していることを確認し、統計的な有意差を認めた。血液ベースのトランスクリプトーム解析(RNA-seq)を実施し、カルニチンシャトルや脂肪酸代謝に関わる遺伝子やパスウェイが検出された。
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自由記述の分野 |
人類遺伝学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ナルコレプシー患者では、CSF中のヒスチジン濃度が高いにもかかわらず、ヒスタミン濃度が低かった。このことから、ヒスチジンからヒスタミンへの合成が適切に行われていないことが示唆された。この結果は、ナルコレプシー治療薬(日本未承認)であるヒスタミンH3受容体拮抗薬/逆作動薬の薬理作用を間接的に支持するものである。血液サンプルを用いたアシルカルニチン解析及びRNA-seqの結果から、ナルコレプシーの病態生理に長鎖脂肪酸の代謝の機能低下が関わることが判明した。今後、このような血液中における代謝物や遺伝子発現の変動が、脳の睡眠中枢にどのような影響を与えているかを解明する必要がある。
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