本研究の目的は、動態に線形性を有する血中分子を中間表現型として活用し、統合失調症の病態を解明することである。多くの内科疾患では遺伝子‐中間分子‐表現型の間に線形性が認められるため、病態研究や治療薬開発に数学や薬理学が有効に活用できる。一方、統合失調症の幻覚や妄想は線形性が成立しないため、遺伝子‐中間分子‐表現型の間で関数的な解析を困難にしている。ビタミンB6濃度やAGEs蓄積量を中間分子としてモデル動物を作製し、社会行動障害の表現型を確認した。大型放射光施設を用いてナノスケールで死後脳を解析し、神経構造と血管走行を中間分子として統合失調症を表現型とする関連を見出した。
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