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2020 年度 実績報告書

アルツハイマー型認知症の脳内炎症の動態・役割の解明から治療へ:PET炎症画像研究

研究課題

研究課題/領域番号 19H03590
研究機関国立研究開発法人国立長寿医療研究センター

研究代表者

安野 史彦  国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 部長 (60373388)

研究分担者 木村 泰之  国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 認知症先進医療開発センター, 室長 (20423171)
加藤 隆司  国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 放射線診療部, 部長 (60242864)
渡邉 淳  国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 共同利用推進室, 室長 (90321843)
小縣 綾  岐阜医療科学大学, 薬学部, 助教 (10805857)
田岡 俊昭  名古屋大学, 医学系研究科, 特任教授 (30305734)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードアルツハイマー型認知症 / 炎症イメージング / トランスロケーター蛋白 / ポジトロンCT / グリア細胞
研究実績の概要

本研究における研究次年度の計画は、初年度までの経験に基づき検査を継続し、アルツハイマー型認知症(AD)患者の被験者数を拡大する。すべてのAD患者において、脳神経系の炎症イメージングマーカーとして、生体内のグリア上に存在するトランスロケーター蛋白(TSPO)に特異的に結合する放射性薬剤:TSPOリガンドを用いたPET分子イメージングにより、脳内炎症病態を定量し、同時に臨床症状評価、MRIによる脳構造・機能検査および髄液・血液中の炎症関連物質の解析を実施することであった。令和2年度末までの時点で、20名のアルツハイマー型認知症患者に対して、PETおよびMRI撮像、血液髄液採取および認知症病態評価を終了した。
令和2年度中、PETリガンド合成/定量的解析に関する検討において、脳と血液のデータから得られた時間放射能曲線を用いて、モデル解析を行い、脳内炎症病態を定量することが可能であることを確認した。さらに、被験者中、8名で試験的に血液・髄液中のプロテオミクス解析を行い、その結果を検証することができた。その結果、グリア細胞関連因子によってPET分子イメージングで得られた脳内炎症定量値を予測しえる可能性が示された
令和3年度は、これまでの経験に基づき検査を継続し、アルツハイマー型認知症患者の被験者数を目標の30症例まで増やす。そのうえで髄液・血液中の髄液・末梢血中タンパク・サイトカイン・炎症系細胞の解析を実施し、PETデータに基づき、変性過程において生じる脳内炎症反応について生体内での定量を行い、同時に炎症によって引き起こされる髄液・末梢血中タンパク・サイトカイン・炎症系細胞のダイナミックな変化と、認知症の認知・精神行動面を中心とした臨床症状との関連について最終的な解析と検討を行い、結果を論文として公表する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究における研究次年度の計画は、初年度までの経験に基づき検査を継続し、アルツハイマー型認知症(AD)患者の被験者数を拡大したうえで、すべての被験者において、PET分子イメージングにより、脳内炎症病態を定量し、同時に臨床症状評価、MRIによる脳構造・機能検査および髄液・血液中の炎症関連物質の解析を実施することである。次年度において、新たに高感度放射線検出システムを導入することができ、PET炎症画像データの定量化に不可欠な代謝物分析をスムーズに行うことが可能となった。令和2年度末までの時点で、20名のアルツハイマー型認知症患者に対して、PETおよびMRI撮像、血液髄液採取および認知症病態評価を終了した。これまでにPETリガンド合成/定量的解析に関する検討において、脳と血液のデータから得られた時間放射能曲線を用いて、モデル解析を行い、脳内炎症病態を定量することが可能であることを確認した。さらに、被験者中、8名で試験的に血液・髄液中のプロテオミクス解析を行い、その結果を検証することができた。その結果、グリア細胞関連因子によってPET分子イメージングで得られた脳内炎症定量値を予測しえる可能性が示せたことは、今後の研究の進展において大きな意義があったと考えている。

今後の研究の推進方策

令和3年度は、これまでの経験に基づき検査を継続し、アルツハイマー型認知症患者の被験者数を目標の30症例まで増やす。そのうえで髄液・血液中の髄液・末梢血中タンパク・サイトカイン・炎症系細胞の解析を実施し、PETデータに基づき、変性過程において生じる脳内炎症反応について生体内での定量を行い、同時に炎症によって引き起こされる髄液・末梢血中タンパク・サイトカイン・炎症系細胞のダイナミックな変化と、認知症の認知・精神行動面を中心とした臨床症状との関連について最終的な解析と検討を行い、結果を論文として公表する予定である。
生体内における疾患に伴う脳内炎症と、髄液・末梢血中の炎症系物質との関連を総合的に検討した報告はこれまでになく、本研究から最終的に導かれる結果から、非常に特色のある成果が期待できる。また、結果をもとに a)脳内炎症バイオマーカーの同定による新たな病態評価法の開発、b)抗炎症作用に基づく治療方法の開発へ向けた新たな基盤的情報の獲得も期待できると考えている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] An evaluation of the amyloid cascade model using in vivo positron emission tomographic imaging2021

    • 著者名/発表者名
      F.Yasuno, A.Nakamura, T.Kato, et al
    • 雑誌名

      Psychogeriatrics

      巻: 21 ページ: 14-23

    • DOI

      10.1111/psyg.12589

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Interaction effect of Alzheimer's disease pathology and education, occupation, and socioeconomic status as a proxy for cognitive reserve on cognitive performance: in vivo positron emission tomography study2020

    • 著者名/発表者名
      F.Yasuno, H. Minami, H Hattori
    • 雑誌名

      Psychogeriatrics

      巻: 20 ページ: 585-593

    • DOI

      10.1111/psyg.12552.

    • 査読あり
  • [学会発表] 環境と認知症:アミロイド/タウイメージングからの視点2020

    • 著者名/発表者名
      安野史彦
    • 学会等名
      第35回日本老年精神医学会
    • 招待講演
  • [図書] PET/CT for Inflammatory Diseases2020

    • 著者名/発表者名
      F. Yasuno
    • 総ページ数
      pp219-221
    • 出版者
      Springer
    • ISBN
      978-981-15-0810-3

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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