研究課題/領域番号 |
19H03591
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
白土 博樹 北海道大学, 医学研究院, 教授 (20187537)
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研究分担者 |
宮本 直樹 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (00552879)
平田 雄一 北海道大学, アイソトープ総合センター, 准教授 (00821985)
田中 創大 北海道大学, 工学研究院, 助教 (00826092)
高尾 聖心 北海道大学, 大学病院, 助教 (10614216)
梅垣 菊男 北海道大学, 工学研究院, 特任教授 (40643193)
茶本 健司 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (50447041)
清水 伸一 北海道大学, 医学研究院, 教授 (50463724)
Nam JinMin 北海道大学, 医学研究院, 講師 (60414132)
小野寺 康仁 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (90435561)
松浦 妙子 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (90590266)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ヘリウム線治療 / 陽子線CT / 免疫放射線治療 / 4次元分割照射 |
研究実績の概要 |
① 短時間(0.1秒以下)でエネルギー変更可能な小型加速器と、2方向から粒子線ビームを異なった方向からほぼ同時に照射することができる回転ガントリーを含む照射・輸送系の磁場制御設計を行った。②陽子からヘリウムに短時間で加速粒子を変更できる混合加速方式を検討し、陽子線CTの仕様を議論の上、明確化した。③ 陽子線CT値-ヘリウムSPR変換プロセスと、X線CT値利用時の精度を比較し、高エネルギー陽子線CTに必要な要素機器と制御方法の仕様を明確化した。④ 高エネルギー陽子線ビームを照射する場合に、ビームの人体への入社方向を意図的に偏心することは困難であることが判明したが、それに代わる照射・輸送系の設計において、新たなアイデアを考えついたため、これについて、議論を深めた。⑤ PD-1およびPD-L1阻害剤と粒子線治療との併用において、線量分布の空間的な差について検討したところ、細胞レベル(LETの差)よりも、原発巣への粒子線治療の時期と、所属リンパ節への粒子線治療の時期に関しては最適化(4次元分割)が有効である可能性があることがわかった。⑥ 原発巣への照射は、がん細胞を死滅させることで治癒に導くことができる一方で、生き残ったがん細胞が産生・放出する物質により、生残腫瘍細胞の移動性・浸潤性を高める可能性があるparacrine効果を、分子生物学的に示した。したがって、原発巣と所属リンパ節を、免疫放射線治療の原理から、もし別々に治療を行う場合には、放射線治療を生き延びたがん細胞からのparacrine効果に注意する必要があることが示され、免疫放射線治療のシミュレーションに重要な情報が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定以上に新規アイデアが生まれ、陽子線CT、ヘリウム・陽子線ハイブリッド治療機、免疫放射線治療に関する3つの特許を、企業(日立)との連携で、申請予定となっている。免疫放射線治療に関しては、優れたシミュレーションモデルができつつあり、実験結果との比較が可能となりつつある。4次元分割放射線治療に関しては、免疫との関係で新たな概念が構築されつつある。また、4次元分割放射線治療の考察の中で、現在の放射線治療の根本的な概念である、THERAPEUTIC WINDOWに関して、新たな発想を得た。
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今後の研究の推進方策 |
① ヘリウム・陽子線ハイブリッド治療機に関しては、次年度、さらに細かい点をブラッシュアップして、2年後の特許申請を目指す。 ② 陽子線CTに関しては、次年度の特許化を目指す。 ③ 免疫放射線治療に関しては、シミュレーションモデルを用いた実験結果との比較を御行い、次年度中の特許化を目指す。 ④ 4次元分割放射線治療の考察の中で、現在の放射線治療の根本的な概念である、THERAPEUTIC WINDOWに関して、生物理論モデルを、さらに精密にする。
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