研究分担者 |
兼田 加珠子 (中島加珠子) 大阪大学, 放射線科学基盤機構, 特任准教授(常勤) (00533209)
白神 宜史 大阪大学, 放射線科学基盤機構, 特任准教授(常勤) (00560400)
下瀬川 恵久 大阪大学, 医学系研究科, 特任教授(常勤) (30370258)
豊嶋 厚史 大阪大学, 放射線科学基盤機構, 特任教授(常勤) (40414578)
篠原 厚 大阪大学, 理学研究科, 教授 (60183050)
福田 光宏 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (60370467)
仲 定宏 大阪大学, 医学部附属病院, 薬剤師 (60599843)
畑澤 順 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (70198745)
吉村 崇 大阪大学, 放射線科学基盤機構附属ラジオアイソトープ総合センター, 教授 (90323336)
大江 一弘 大阪大学, 医学部附属病院, 特任助教(常勤) (90610303)
深瀬 浩一 大阪大学, 理学研究科, 教授 (80192722)
白崎 謙次 東北大学, 金属材料研究所, 講師 (70447176)
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研究実績の概要 |
本研究ではがんの間質に発現しているFAP(線維芽細胞活性化タンパク質: Fibroblast Activation Protein)に注目し、がん間質をターゲットにしたアルファ線治療薬の開発に成功した。がん間質はがん細胞の増殖に必要な環境を作るとともに、がん細胞に抗がん剤が届くのを防ぐバリアにもなっていることがわかっている。まずは画像診断用イメージングプローブとして、金属PET核種(Ga-68, Cu-64)を用いたFAPIの安定した標識に成功し、膵臓癌モデルマウス(PANC-1)における腫瘍への集積、ならびにFAP免疫染色における発現を確認した。またアルファ線放出核種であるアクチニウム(Ac-225)標識FAPIを用いて、膵臓癌モデルに単回静脈内投与を行い、腫瘍増殖抑制効果を確認した。がん細胞の増殖を支えているがん間質をアルファ線で攻撃することで、治療効果が得られることが世界で初めて確認されたことから、本研究結果について、論文発表を行った(Watabe T, et al. J Nucl Med. 2019)。 がん間質はがん細胞の増殖に必要な環境を作るとともに、がん細胞に抗がん剤が届くのを防ぐバリアにもなっている。特に膵臓がんでは、がん細胞の周囲に存在する間質がバリアとなって、がん細胞まで抗がん剤が行き渡らないことがあった。今後、通常の治療が効かない難治性の膵臓がんに対する画期的な治療法となることが期待される。さらにFAPは膵臓がん以外にも多くのがん種で発現していることがわかっています。将来的には他のがん種に対する治療の有効性も検証し、がん治療戦略の1つに位置づけることを目標にしたいと考えている。
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