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2020 年度 実績報告書

がん間質細胞をターゲットにした核医学治療の開発:新たながん治療戦略に向けて

研究課題

研究課題/領域番号 19H03602
研究機関大阪大学

研究代表者

渡部 直史  大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90648932)

研究分担者 兼田 加珠子 (中島加珠子)  大阪大学, 放射線科学基盤機構, 特任准教授(常勤) (00533209)
白神 宜史  大阪大学, 放射線科学基盤機構, 特任准教授(常勤) (00560400)
下瀬川 恵久  大阪大学, 医学系研究科, 特任教授(常勤) (30370258)
豊嶋 厚史  大阪大学, 放射線科学基盤機構, 特任教授(常勤) (40414578)
篠原 厚  大阪大学, 理学研究科, 教授 (60183050)
福田 光宏  大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (60370467)
仲 定宏  大阪大学, 医学部附属病院, 薬剤師 (60599843)
畑澤 順  大阪大学, 核物理研究センター, 特任教授 (70198745)
白崎 謙次  東北大学, 金属材料研究所, 講師 (70447176)
深瀬 浩一  大阪大学, 理学研究科, 教授 (80192722)
吉村 崇  大阪大学, 放射線科学基盤機構附属ラジオアイソトープ総合センター, 教授 (90323336)
大江 一弘  大阪大学, 医学部附属病院, 特任助教(常勤) (90610303)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードがん関連線維芽細胞 / FAPI / がん間質 / アルファ線 / PET
研究実績の概要

本研究ではがんの間質に発現しているFAP(線維芽細胞活性化タンパク質: Fibroblast Activation Protein)に注目し、がん間質をターゲットにした核医学治療の評価を行っている。がん間質はがん細胞の増殖に必要な環境を作るとともに、がん細胞に抗がん剤が届くのを防ぐバリアにもなっていることがわかっている。昨年度においては、画像診断用イメージングプローブとして、金属PET核種(Ga-68, Cu-64)標識FAPI-04を用いたPETイメージングに成功していたが、今年度は汎用のPET核種であるF-18 標識FAPI-74の標識に成功し、膵臓癌モデルマウス(PANC-1)における腫瘍への高集積を確認し、FAP免疫染色での腫瘍組織におけるFAP発現も確認した。また昨年度はアルファ線放出核種であるアクチニウム(Ac-225)標識FAPI-04を用いて、膵臓癌モデルに単回静脈内投与を行い、腫瘍増殖抑制効果を確認した(Watabe T, et al. J Nucl Med. 2019)。 今年度はFAPI-04よりも腫瘍内の滞留能が高いFAPI-46を用いて、α線核種のアクチニウム(Ac-225)とβ線核種のルテチウム(Lu-177)を用いた標識検討を行った。がん間質はがん細胞の増殖に必要な環境を作るとともに、がん細胞に抗がん剤が届くのを防ぐバリアにもなっている。特に膵臓がんでは、がん細胞の周囲に存在する間質がバリアとなって、がん細胞まで抗がん剤が行き渡らないことがあった。今後、通常の治療が効かない難治性の膵臓がんに対する画期的な治療法となることが期待される。さらにFAPは膵臓がん以外にも多くのがん種で発現していることがわかっている。将来的には他のがん種に対する治療の有効性も検証し、 がん治療戦略の1つに位置づけることを目標にしたいと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

金属PET核種(Ga-68, Cu-64)を用いたFAPIの安定した標識に成功しており、アルファ線放出核種であるアクチニウム(Ac-225)標識によるFAPをターゲットとし たアルファ線治療が有効であるというPOCを既に取得し、論文発表を行っている(Watabe T, et al. J Nucl Med. 2019)。
さらに、今年度は汎用のPET核種であるF-18 標識FAPI-74の標識に成功しており、さらに腫瘍内の滞留能が高いFAPI-46を用いて、α線核種のアクチニウム(Ac-225)とβ線核種のルテチウム(Lu-177)を用いた標識検討を行っている。

今後の研究の推進方策

α線核種のアクチニウム(Ac-225)とβ線核種のルテチウム(Lu-177)で標識したFAPI-46を用いて、担癌モデルにおける治療効果を評価し、核種による違いを比較する。
またAt-211標識については標識が難しく、チャレンジングではあるが、引き続き標識検討を行う。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] ハイデルベルク大/デュッセルドルフ大(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      ハイデルベルク大/デュッセルドルフ大
  • [雑誌論文] Theranostics Targeting Fibroblast Activation Protein in the Tumor Stroma: 64Cu- and 225Ac-Labeled FAPI-04 in Pancreatic Cancer Xenograft Mouse Models2020

    • 著者名/発表者名
      Watabe Tadashi、Liu Yuwei、Kaneda-Nakashima Kazuko、Shirakami Yoshifumi、Lindner Thomas、Ooe Kazuhiro、Toyoshima Atsushi、Nagata Kojiro、Shimosegawa Eku、Haberkorn Uwe、Kratochwil Clemens、Shinohara Atsushi、Giesel Frederik、Hatazawa Jun
    • 雑誌名

      Journal of Nuclear Medicine

      巻: 61 ページ: 563~569

    • DOI

      10.2967/jnumed.119.233122

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] がん特異的PETイメージングからアルファ線治療への展開2020

    • 著者名/発表者名
      渡部直史
    • 学会等名
      第57回腫瘍・免疫核医学研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] アルファ線核種アスタチンの臨床応用に向けて2020

    • 著者名/発表者名
      渡部直史
    • 学会等名
      日本放射化学会第64回討論会
    • 招待講演
  • [備考] α線核種アクチニウム用いた膵臓癌治療(Ac-FAPI-04)

    • URL

      https://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/tracer/about/research/nuclear_02.html

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公開日: 2021-12-27  

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