研究課題/領域番号 |
19H03608
|
研究機関 | 一般財団法人脳神経疾患研究所 |
研究代表者 |
石渡 喜一 一般財団法人脳神経疾患研究所, 南東北創薬・サイクロトロン研究センター, 所長 (50143037)
|
研究分担者 |
鷺野谷 利幸 一般財団法人脳神経疾患研究所, PETセンター, センター長 (10274903)
平塚 純一 川崎医科大学, 医学部, 教授 (30192298)
佐藤 まり子 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (30645263)
高井 良尋 一般財団法人脳神経疾患研究所, 南東北BNCT研究センター, センター長 (50107653)
村上 昌雄 一般財団法人脳神経疾患研究所, 南東北がん陽子線治療センター, センター長 (50210018)
廣瀬 勝己 一般財団法人脳神経疾患研究所, 南東北BNCT研究センター, 診療所長 (60623767)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | PET診断 / 癌 / BNCT / 陽子線治療 |
研究実績の概要 |
腫瘍の低酸素状態は放射線治療の抵抗因子となることはよく知られている。PETによる低酸素イメージングプローブとして広く普及している18F-FMISOに対して、理論上で優れた性質を持つ18F-FRP-170を直接的に比較研究し、低酸素状態と18F-FBPA集積の逆相関を動物モデルと臨床で確認することを目的とする。 薬剤製造・品質管理に関して:本課題で使用するPET薬剤に関して、南東北医療クリニックPETセンターから南東北創薬・サイクトロン研究センターへの製造技術移転を2019年の9月中に完了した。18F-FBPA製造の分離精製に取り入れた生理食塩水系のHPLC分離方を18F-FRP-170と18F-FMISO合成に応用して、臨床に適した迅速な合成法を確立した。動物実験用には高放射能濃度薬剤の製造が求められ、脳神経疾患研究所では3薬剤が、青森県量子科学研究センターでは18F-FBPA製造だけが可能になった。 腫瘍への18F-FBPA集積に関して:BNCTに用いられる治療薬BPAの動態を推定する18F-FBPA PETでは、血液濃度や正常部位に対する腫瘍の18F-FBPA 集積比はBNCT適応の一つの指標となる。PETでの18F-FBPAボーラス投与時の腫瘍/心血液プール比は指標になりうると考えられた。また、腫瘍/正常比を、BPAのインフージュン投与に即して腫瘍/正常比にシミュレーションにより変換する方法を検討した。正常部位の設定領域によりボーラスとインフージュンで腫瘍/正常比がかなり異なり、BNCTの実施には、このシミュレーション法は重要と考えられた。また、通常のボーラス画像をインフージュン画像に変換することもできた。 低酸素イメージング画像と18F-FBPA画像に比較について:1例ではあったが、予想通り2薬剤の腫瘍内局所分布に若干の違いが認められた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
1.低酸素イメージングに関する研究課題の特定臨床研究審査会での承認(2019年10月25日)が遅れ、低酸素イメージングは1症例であったが、FBPA PETに関する基礎データの収集はある程度進んだ。 2.脳神経疾患研究所での動物実験委員会の発足(2019年10月29日)が遅れたため、動物実験の実施が遅れている。 3.インビトロや動物実験のバックアップ施設を予定している青森県量子科学研究センターでのPET薬剤製造に関して、FBPA製造は2019年2月に完了したが、FRP-170とFMISOについてはまだ使用できない。
|
今後の研究の推進方策 |
以下のことから、当初の研究計画は特に変更せずに進めたいと考えている。 1.申請時に問題としていた研究環境が整備された。 2.基礎研究に関しては、2019年度の弘前大学の分担研究者佐藤が脳神経疾患研究所に異動になり、後任に新たに一瀬が分担研究者に加わったため、基礎研究を効率的に進められると期待できる。 3.臨床研究に関しては、南東北BNCT研究センターでの頭頸部癌患者を対象としたBNCTの実臨床が、当初予定より多少早めの2020年6月に開始予定となり、研究に参加する患者ボランティアのリクルートが進むと予想され、また佐藤が臨床研究にも参加できることになった。
|