研究課題/領域番号 |
19H03623
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
神山 淳 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (30437511)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | iPS細胞由来脳オルガノイド / CHARGE症候群 / エンハンサー制御 |
研究実績の概要 |
CHARGE症候群はクロマチンリモデリング因子CHD7の変異を原因とし、複数の臓器における発達異常や発生異常が見出される疾患である。CHD7は中枢神経系に存在する神経前駆細胞においてエンハンサー制御を司る遺伝子であり、その標的領域におけるエピゲノム制御の本態の解明はヒト神経発生を理解する上で重要である と考えられる。本研究ではヒトiPS細胞を用いた手法を採用し、CHARGE症候群患者由来iPS細胞を用いた脳オルガノイドにおいて組織学的異常を見出している。ま た、分子機構の解明としては1細胞レベルでの解析を可能とする1細胞RNA-Seqや1細胞ATAC-Seqの手法を採用している。本年度はCHD7の細胞特異的な標的の制御機構として組織特異的なpioneer因子と結合を介してエンハンサー制御を規定することを報告した。また、昨年度確立した脳オルガノイド成熟化手法を用いた解析を実施し、従来法では解析が難しかったグリア系細胞に与える影響の解析を開始した。CHD7の共役因子として見出した因子に関しては表現型解析の過程で核内局在が相分離により規定される可能性を見出した。特にエンハンサー領域に与える影響が大きいことから、今後はCHD7の活性制御との関連を解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CHD7の機能制御における機構の一つとして組織特異的因子の関与が明らかとなった。また、現在解析に注力している因子は組織特異的因子との共役と協調的に作用し、中枢神経系のエンハンサー制御を担っていると想定されるため、本研究結果により、エンハンサー制御機構の新たな側面を解析可能である。また、新規脳オルガノイド技術はグリア細胞系への解析が可能となっており、CHARGE症候群に対しての新規病態モデルとして確立されることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
今後は研究計画の最終年度に向け、現在までに蓄積した知見を統合し、CHARGE症候群に対する新規病態メカニズムを提唱したいと考えている。
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