研究課題
4年計画の最終年度に相当する2022年度も研究の3テーマ(SAMD9/SAMD9Lの機能の解明・SAMドメインの構造の解明・SAMD9/SAMD9L異常症の細胞レベル病態の解明)に取り組んだ。「SAMD9/SAMD9Lの機能の解明」では、昨年度までに変異型分子のタンパク質精製が困難であり、野生型分子の10-20%程度の収量しか得られずにいた。そのため、相分離動態の観察には多量の細胞試料を必要としたが、最終的には液相分離の検討を行うことができた。その結果、EGFPタグ付きE974K変異体の液滴形成能はEGFPタグ付きの野生型SAMD9と有意差はなく、液相分離の程度の違いが変異による物性変化の本質ではないことが示された。「SAMドメインの構造の解明」では、前年度に引き続き全長SAMD9分子のクライオ電鍵観察用試料を作成し、理研横浜事業所におけるクライオ電顕観察に供したが、分子の凝集傾向の制御が困難であり、適切な密度で分子が配置されたグリッドを作製することができなかった。限られた撮像枚数のデータから構築された立体構造の解像度は低く、全体構造を推測することはできなかった。「SAMD9/SAMD9L異常症の細胞レベル病態の解明」では、臨床症例に対する遺伝子解析を積極的に進め、4編の関連論文を年度中に上梓した。特に体温調節異常から横紋筋融解症をきたした乳児例の報告(Saito K et al., Neonatology 2023)は、MIRAGE症候群患者におけるアグレッシブな体温管理の重要性を示すものであり、今後の診療水準の改善に資するものと考えられる。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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巻: in press ページ: in press
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