研究課題/領域番号 |
19H03631
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
正宗 淳 東北大学, 医学系研究科, 教授 (90312579)
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研究分担者 |
濱田 晋 東北大学, 医学系研究科, 助教 (20451560)
田口 恵子 東北大学, 医学系研究科, 講師 (20466527)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 酸化ストレス |
研究実績の概要 |
本年度は膵星細胞のNrf2依存的な膵癌促進作用を明らかにするため、膵星細胞における酸化ストレス応答が細胞機能に与える影響を評価した。ヒト膵星細胞およびマウス膵星細胞を酸化ストレス誘導剤で処理することにより、典型的なNrf2標的遺伝子であるNqo1・Gstm1の発現誘導が起こることを確認した。Nrf2欠損マウスより得られた初代培養膵星細胞と野生型マウス由来の初代培養膵星細胞の遺伝子発現プロファイルを比較した結果では、Nrf2欠損細胞でNrf2標的遺伝子の発現低下がみられるとともに、これまで酸化ストレスによる発現変化が報告されていない複数のシグナル伝達分子の発現が低下していた。 ヒト膵星細胞でのNrf2抑制による影響を評価するため、ゲノム編集によるNrf2ノックアウト細胞の作製に着手した。薬剤によるNrf2抑制実験として、これまでに報告されているNrf2阻害剤4種による処理を行い、Nrf2阻害効果を示すとされている濃度においてヒト膵星細胞の細胞生存率が低下しないことを確認した。 来年度の研究では膵星細胞でも酸化ストレス応答が起こることが確認できたことを受け、酸化ストレスの付与により変化する膵星細胞機能の詳細を明らかにする。Nrf2の有無が発現変動に関わる新規分子については、酸化ストレス誘導により発現変動がみられるかを明らかにするとともにプロモーター領域の機能解析を行い、Nrf2の直接標的であるかを明らかにする。本年度は膵星細胞の機能解析を中心に進めたため、来年度以降は薬剤スクリーニングの実施を重点的に進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は膵星細胞のNrf2依存的な膵癌促進作用を明らかにする端緒として、複数の新規分子を同定することが可能であった。来年度以降はこれら候補分子を解析対象として薬剤スクリーニングを進めることが可能であり、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降は酸化ストレス応答に依存して膵癌を促進する膵星細胞機能を標的としうる薬剤のスクリーニングを進める方針である。酸化ストレス応答の下流で癌促進に関わる新規分子については、疾患マーカーとしての応用可能性も検討する。
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