研究課題
本課題では、肝疾患における肝発癌・病態進展に関わる宿主およびウイルス要因を明らかとするとともに、それに基づいてヒトiPS細胞におけるin vitro解析系を構築し、機能解析を進めることを目的として研究を進めた。肝癌切除例を対象として、半導体シークエンサーを用いて癌関連54遺伝子2910箇所のHotspotに対してdeep sequenceを、TERT promoter領域のhotspotは direct sequenceを行い、肝細胞癌関連遺伝子プロファイルを網羅的に解析した。対象検体の癌部と非癌部において癌関連遺伝子及びHBVとAAV 遺伝子挿入を次世代シークエンサーを用いて解析した結果、B型肝癌では核酸アナログ薬内服の有無に関わらず肝細胞癌組織の93%に宿主ゲノムへのHBV遺伝子挿入を認め、その72%は癌関連遺伝子への挿入であった。一方、HBV感染既往例では8%にHBV遺伝子挿入を認めるのみであったが、そのうち57%は癌関連遺伝子への挿入であった。従って、HBV既往感染例でもHBV遺伝子挿入に起因する発癌機序が存在することが示唆された。これらの知見に基づきヒトゲノムにHBV遺伝子をノックインした遺伝子改変ヒトiPS細胞を樹立し、病態解析モデルの基盤を構築した。本系において、HBVゲノムのintegrationにより細胞分化と増殖に変化が見られることが示唆され、その分子機構を解析した。さらにより生体に近い条件下での解析を可能とするために、肝細胞の形質を保持し長期継代可能な培養条件を探索し、これを可能とする培養法を構築した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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