研究課題
本研究室で発見され、肝臓の肝星細胞(Hepatic stellate cell, HSC)でのみ発現するサイトグロビン(CYGB)は、活性酸素種(ROS)に対する抗酸化力などグロビンに共通するタンパク質機能を有し、細胞を酸化的DNA損傷から保護する。Cygb過剰発現(TG)マウスにチオアセトアミド(TAA)を単回投与(50 mg / kg)すると、野生型マウスに比べ、アラニントランスアミナーゼ(ALT)および酸化ストレスレベルが低下した。TAA投与10週間後、Cygb-TG肝臓は、好中球の蓄積、サイトカインの発現、線維化の減少を示した。同様に、Cygb過剰発現マウスは、コリン欠乏メチオニン低減アミノ酸(CDAA)食16週間給餌またはジエチルニトロサミン(DEN)治療の12か月後に誘発される、肝臓損傷、線維症およびROSの蓄積を減弱した。これら3つのモデルはすべて、病因が異なるにもかかわらず、CYGBによる細胞保護作用を示した。我々は、ヒトCYGBは、線維化誘導因子であるGF-β1により抑制されることをR2年度に報告した。TGF-β1前処理によりHSCはCYGB発現が低下し、NADPHオキシダーゼ4、αSMAおよびコラーゲンの発現が増加した。この活性化したHSCでは、静止型HSCと比べ、過酸化水素(H2O2)処理によるヒドロキシラジカル蓄積とDNAの損傷が観察された。また、ヒトCYGBの過剰発現は、これらの影響を逆転させた。これらの研究成果を基に、活性化したHSCの肝細胞に対する影響を調べるためマウスの肝臓から採取したミトコンドリアの呼吸鎖酵素活性を調べたところ、肝細胞由来と考えられるミトコンドリア活性がHSC-Cygbの欠損により有意に減少していることが分かった。これらの結果から活性化HSCのCygb発現減少に伴う肝細胞の機能障害および癌化における新しい洞察が提供された。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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